【フジマキさんが読む今後のマーケット】
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※文字化けを防ぐため、タイトルの文字を一部変更しています
本日の一冊は、モルガン銀行時代、東京市場屈指のディーラーとして名をはせた著者が、サブプライム後のマーケット動向と、投資チャンスを述べた、注目の一冊。
1ドル200円をはじめ、これまでことごとく予想を外してきた著者ですが、解説のわかりやすさと、ある意味ロジックを極めた主張は、いいヒントになります。
いたずらに不安をあおる本が多いなか、サブプライム・ローン問題は、「金融商品の『ミスプライシング』から起きた技術的問題にすぎない」と喝破し、本質を説いた議論を展開しています。
ほかにも、問題はレバレッジではなく、「流動性リスクの高い商品、すなわち『売りたい時に売れない』商品に深入りしすぎたせいだ」など、リスクを負う投資家として見れば参考になる主張が満載。
国と同じポジションを取ることにより、リスクを回避するという考え方も、参考になりました。
政治的な視点や歴史的な視点があれば、より成熟した議論になるとは思いますが、ある意味そこを抜いているからこそ、純粋に投資に役立つ論点が出てくるのだとも言えます。
主張を鵜呑みにするのではなく、プロがどんな指標に注目しているのか、どんな考えで投資に臨んでいるのか、知る上で参考にしたい一冊です。
ぜひ読んでみてください。
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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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「サブプライム・ローン問題」とは、「金融資本主義の終わり」でも「悪魔が金儲け主義で劣悪商品を売りつけた結果」でも「デリバティブの問題」でも「米国経済の終わり」でもありません。金融商品の「ミスプライシング」から起きた技術的問題にすぎない
日本国内では若者の自動車離れとか少子化とかが問題になっていますが、米国では自動車は生活必需品です。いつまでも自動車需要が低迷し続けるはずはない
株を基準に考えるなら「日本経済は最弱」であり、為替を基準に考えるならば「日本経済は最強」なのです。これは、論理矛盾です
1987年のブラックマンデーにおけるNYダウ工業株30種平均の下落幅は508ドルでした。たしかに、金額だけを比べてみると、今回の下げ幅のほうが大きい。誰にも明らかです。ですが、これはミスリードだと思います。「下落率」がいっさい考慮されていないからです。米国の株価はこの時まで1万1000ドルの水準だったわけですから、777ドル下げた時の下落率は約7%です。対して、ブラックマンデー前の株価は2200ドルの水準でしたから、508ドルの下げとは約23%の下落率になります
人と反対の意見をいう人がおらず、同じような意見ばかり聞いていると、人々はそれが正しいと信じて、パニックに陥りやすいものです
個人消費を増やすためにより重要なのは、資産価格だと思います
今回の危機の本質は「レバレッジのかけすぎ」、すなわち「少ないお金で大きすぎるリスクを背負ったこと」ではないと思っています。流動性リスクの高い商品、すなわち「売りたい時に売れない」商品に深入りしすぎたせいだ
忘れてはならないことは、「日本人は円で労働力を売っている」という事実です。円が強くなれば、円で労働力を売っている日本人は不利になります
不況の時は値下げをしてこそ売上が伸ばせる
近年、日本では「パイの分配」の議論がなされてきました。しかし今は、「パイを大きくする」政策が必要なのです
◆円安誘導の方法
1.介入 2.ドル建て日本国債
資源大国、具体的にはオーストラリアやニュージーランド、ロシアのような国の通貨が再度強くなっていく可能性があります。では、農業大国はどこでしょうか。実は唯一の農業大国は米国です
不動産にしてもドル資産にしても、日本にインフレが来れば日本国は大助かりなのです
インフレの問題は、将来よりも、過去に行なった蓄積に関しての影響が大きい
「人間において最も下劣な品性とは嫉妬である」(サッチャー)
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『100年に1度のチャンスを掴め!』PHP研究所 藤巻健史・著
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◆目次◆
第1章 私は今、何をやっているのか?
第2章 今回の危機の経緯
第3章 事態を悪化させた恐怖心
第4章 実体経済の悪化は恐慌に結びつかない
第5章 そろそろ峠を越したか? 金融システム不安
第6章 日本経済復活のシナリオ
第7章 政府が取るべき政策
第8章 サブプライム・ローン問題解決後のマーケット(その1)
第9章 サブプライム・ローン問題解決後のマーケット(その2)
第10章 投資家は何をすべきか?
第11章 デリバティブ取引の重要性
第12章 日本経済の課題諸々
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