【戦略コンサルのコスト削減テクニック】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4492556400
本日の一冊は、戦略コンサルティングファーム、A.T.カーニーが持つノウハウのなかでも、とくに需要が高い「コスト削減」について、パートナーの栗谷仁さんがまとめた一冊。
著者によると、本書で焦点をあてている「間接材コストの削減」において、同社はグローバルで数百、日本だけでも70を超えるプロジェクトの経験があるとのこと。
本書では、その経験をもとに、さまざまな間接材コスト削減のアプローチ方法を示しており、印刷費、諸費、物流費、メディア広告費など、あらゆる視点からのコスト削減を提唱しています。
これまでに78社を支援してきた実績を見ると、このアプローチ方法で平均13%のコスト削減が可能。
売上がなかなか伸びない今日、企業にとってはのどから手が出るほど欲しいノウハウに違いありません。
内容的には、バーゲニングパワーが弱いケースや、IT費用の削減に関するパートなど、一部歯切れの悪い主張もありますが、全体としては、よくまとまっていると思います。
業界はどこであれ、コスト削減のアプローチ方法を、「サプライヤーマネジメント」と「ユーザーマネジメント」の2つに分け、それぞれのポイントについて詳細に検証する点は同じ。
サプライヤーとの交渉や、自社の業務の見直しなど、参考にすべき点がいくつもありました。
大きな会社であればあるほど、インパクトのある内容だと思いますが、中小企業でも無駄な発注を防ぐために、理解しておきたい内容。
コスト削減を真剣に考え始めた経営者に、おすすめしたい一冊です。
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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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間接材コストとは、製造原材料費以外のありとあらゆるモノ・サービスの外部からの購入コストであり、比較的短期間に大幅なコスト削減を実現し、収益改善につなげることが可能なコストである
定常的に購入しているモノ・サービスについては、サプライヤーとの関係が深まり、使い勝手が良く便利であるという理由から新規サプライヤーを利用しようとする動機が欠如していく
子会社の対内取引価格が割高で許されるのであれば、子会社はコスト競争力向上に対する努力を払う必要が無くなり、結果としてグループ全体でのコスト競争力は低下する
間接材コストの削減アプローチには、サプライヤーとの交渉を通じて調達・契約価格を下げていくサプライヤーマネジメントという考え方と、自ら、必要性そのものや仕様の見直しなどを行ない、源流から発生コストを抑制するユーザー・マネジメントという大きく二つの考え方がある
コスト構造が固定費中心となっている商品・サービスでは、顧客に見えるコストが小さく、サプライヤーの固定費の回収状況に応じて、契約の時期や顧客毎で価格水準にバラツキが出やすい。たとえば、サプライヤーの稼働率が高く、既に固定費の回収が進んでいる場合には、わずかな限界コスト(変動費用)分さえカバーできればよいので、安い価格水準でのサービス提供が行なわれるケースがある
調達(量・質)の必要性の検証は、ベンチマーク比較(世間、社内など)、代替手段の有無、関連業務プロセス見直し余地の有無の三つの視点から行なう
新たなモノの購入ではなく在庫活用や中古品再利用、リース、あるいは、そもそも買い替えをしないで故障リスクをとりながら継続使用する、など、幅広い視点で代替案を検討することが重要
バーゲニングパワーは、購入者・供給者それぞれの市場におけるマーケットシェアの現状と見通し、取引先の代替可能性で決まる
◆ユーザーマネジメントの4つのポイント
1.仕様のベンチマーク比較を行なう
2.代替手段とのコスト効果を比較検討する
3.関連業務プロセスの効率化によるコスト削減を検討する
4.費用対効果を分析し収益性の低い支出を中止・抑制する
発注元が分散している場合にはその一元化を行ない、ボリュームディスカウントを取っていくことは、積合わせ便や宅配便においては有効
あるケースでは、機械警備が開始されるまでに退社できるようにするという目標の下で業務の見直しを図り、機械警備への移行と併せて残業時間の削減も実現できたケースもある
「投資目的」「要求仕様」が十分に吟味されないままIT投資案件が承認され、結果としてIT費用が膨らむ
リーダーは社員に対して自分が解決策を提示するのではなく、サプライヤーからの提案を引き出させるという基本姿勢を徹底させることが必要
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『最強のコスト削減』東洋経済新報社 A.T.カーニー・監修 栗谷仁・著
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4492556400
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◆目次◆
第1章 大幅なコスト削減が可能な領域「間接材コスト」
第2章 間接材コスト削減アプローチの全体像と要諦
第3章 費用項目別アプローチ1 印刷費
第4章 費用項目別アプローチ2 諸費
第5章 費用項目別アプローチ3 物流費
第6章 費用項目別アプローチ4 施設管理費
第7章 費用項目別アプローチ5 IT費用
第8章 費用項目別アプローチ6 メディア広告費
第9章 コスト削減プロセスにおいて求められるリーダーシップと
プロジェクト運営
第10章 コストセンター子会社への対応
第11章 設備投資コスト適性化への適用
第12章 カウンターソーシング
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