【不況下に絶好調。任天堂の創造力の秘密とは?】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4532314631
WiiとDSが絶好調、3月期の連結決算では、売上高1兆8386億円、営業利益5552億円で過去最高だった任天堂が、その好調の秘密を明かした一冊。
とは言っても、正確には記者が書いたものですが、引退後、任天堂に関する取材を固辞してきた中興の祖、山内溥へのインタビューもあり、なかなか読み応えのある一冊です。
新聞や雑誌で既に報道された内容が大半ですが、時折挿入されるエピソードや、仕事人たちの「哲学」が読ませてくれます。
売上高を3倍にし、売り上げ1兆円を突破した岩田、「ドンキーコング」「マリオ」の生みの親、宮本、「ゲーム&ウオッチ」を創った横井など、ゲームに詳しい人なら思わず反応してしまうカリスマたちのエピソード&哲学。
「枯れた技術を思わぬ形で転用するからこそ、子供がプレゼントで買ってもらえるような価格で、世間に驚きを与える斬新な商品を提供できる」「お母さんのご機嫌を起点とする発想」など、クリエイターにとって、いいヒントがもらえます。
不況ということもあってか、最近は業績好調な企業の研究本がいくつか出ていますが、そのなかでも本書は特に押さえておきたい一冊です。
ぜひ読んでみてください。
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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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「任天堂は景気の低迷に強いわけではなく、関係ないと言った方が正しいかもしれない。理由は、景気が良かったとしても、つまらないものは売れないから」(岡三証券アナリスト 森田正司)
「川島教授のリアクションを自分の目で確かめるために、すぐにでも教授のもとへ飛びたい」そう思った岩田はさっそく面会の約束を取り付ける。だが、川島教授も岩田も多忙の身。2人の空いている日にちが次に重なるのは、偶然にもDSの発売日だった。それでも岩田は迷うことなく、12月2日に川島教授がいる仙台に向かうことにした(中略)「今では、私が仙台に行ったことを責める人は社内にいません」
「我々は声が大きくてゲームをいっぱい買ってくれる人の姿をつい見てしまう。そこに合わせたモノづくりをどんどんした結果、ゲームをやる人が減っているのではないか」(岩田)
お母さんのご機嫌を起点とする発想が、Wiiを特徴付けていく
ゲーム機のコントローラーは、ゲームをしない人は絶対に触らない。ゲーム機から伸びるコードは邪魔以外の何者でもなく、出ていればすぐに片付けられてしまう。だが、テレビのリモコンを邪険に扱う人は少ない。その差を考えた時、やはりワイヤレスであることが必須だった
テレビは家族全員の共有物。みんなで見る番組があれば、子供だけが見る番組もある。見たい番組が重なれば、チャンネル争いも起きる。同じようにWiiも、家族全員に関係があり、毎日誰かが見たくなるようなチャンネルの1つでありたい
「世界の宮本」は、任天堂がゲーム人口拡大戦略を始めるずっと前から、ゲームに関係のない人の声を拾っていた。どれだけ世界中で評価されようが、実績を作ろうが、決して独りよがりにはならず、「普通の人」がわからないのは自分が間違っているからだと、修正をしてきた。その武器が、肩越しの視線なのだ
「一度に社員数を10倍にしましょうみたいな計画をしても、任天堂らしさは保てません」岩田は、この「任天堂らしさ」という言葉をよく使う。任天堂という会社は不思議な会社で、企業理念や社是・社訓といったものが、どこかに明文化されているわけでも、誰かが口にしているわけでもない。だが任天堂で働く者は、「任天堂らしさ」という共通認識を持ち合わせている
電子機器を落として壊したら、一般的には落とした人の責任だ。それでも、過剰なまでに堅牢であることにこだわるのは、「嫌な思いをさせたらお客さんに二度と振り向いてもらえない」という恐怖心があるからである
枯れた技術を思わぬ形で転用するからこそ、子供がプレゼントで買ってもらえるような価格で、世間に驚きを与える斬新な商品を提供できる
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『任天堂 ”驚き”を生む方程式』日本経済新聞出版社 井上理・著
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4532314631
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◆目次◆
プロローグ 「100年に1度」に揺らがず
第1章 ゲーム旋風と危機感
第2章 DSとWii誕生秘話
第3章 岩田と宮本、禁欲の経営
第4章 笑顔創造企業の哲学
第5章 ゲーム&ウオッチに宿る原点
第6章 「ソフト体質」で生き残る
第7章 花札屋から世界企業へ
第8章 新たな驚きの種
エピローグ 続く”飽きとの戦い”
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