【広告界の著名人、語る。】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4844326430
本日の一冊は、「広告批評」を創刊し、長年批評という立場から広告業界に携わってきた著者が、広告の本質とその変容を論じた一冊。
「ピッカピカの一年生」「セブンイレブンいい気分」などの名CMを作った電通の杉山恒太郎さん、サントリー伊右衛門のCMを手掛けた中島信也さん、『明日の広告』の著者、佐藤尚之さん、カンヌ国際広告祭で金賞を受賞した伊藤直樹さん、カリスマコピーライターの谷山雅計さんなど、計5名との対談形式で、広告の歴史と今後の表現について論じられています。
権威に対抗し、優れたコピーを連発した広告代理店のDDB、平賀源内が創った「土用丑の日」、笠森稲荷の「おせん」、開高健が作
ったトリスウイスキーの名コピー…。
広告が培ってきたノウハウや思想的な基礎は、土井も含め、ウェブマーケティングに携わる人間が学ぶ要素が多分にあり、本書はその水先案内人としてじつに有用な一冊だと思います。
広告の基本は表現である、と説く杉山さん、モノを売ることの本質を「バナナのたたき売り」に例える中島さん、「日本人には、さわらないことで不足しているものを埋めようとする欲求が強い」と説く伊藤さん。
いずれの言葉も含蓄があり、表現に携わる人すべてに伝えたいメッセージであふれています。
広告、マーケティングに携わる人はもちろん、出版関係者にもぜひ読んでいただきたい一冊です。
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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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開高健さんの有名なコピー……と、いまでこそいえるけれど、当時はそんなことはなにもわからない。ただ、このコピーを見たときに、思わずドキドキしたんです。「人間」と、わざわざカッコに入れて三度もくり返すところもすごいけど、「『人間』なんだからナ」という最後の1行にびっくりした。当時、世間はレジャーブームとかで浮かれていたけれど、ぼく自身は失業つづきでひどい生活だった。(中略)とても、「人間」らしくなんか生きていないわけ。それだけに、この広告は胸に響いたね。そうだ、おれだって「人間」らしくやりたいナ、「人間」なんだからナ、って、心のなかでつぶやいたもんです
批評というと、相手を批判したり文句をつけたりすることだと思っている人がいますね。ま、そういう批評もあるでしょうが、批評の本質はそんなことではない。つくり手といっしょに歩き、つくり手の足元を照らすことだと思います
批評は相手(つくり手)からお金をもらうわけじゃないから広告とはいえないけれど、すぐれた批評には広告性がある
すぐれた広告には、なまじっかな批評よりも、ずっとすぐれた批評性がある
メディアがつぎつぎに変わり、手法がいろいろに変わっても、「評判をつくる」という広告の役割はまったく変わらない
DDBのやり方っていうのは、そういう大きい企業や、業界1位の企業のやり方を批評するというか、権威主義をとことんやっつけるやり方が多いよね。なのにユーモアがあるから不快感を与えない
優秀なマーケターは、みんな魅力的な言葉をもっているし、企てることも表現することもできますよ(杉山恒太郎)
芸を見せるということですよね。バナナのたたき売りにしても、ただバナナを売るのではなくて、エンターテインメントとして芸を見せて、お約束事として「見せてもらったから、じゃあ、ひとつ買おうじゃないか」というものだったと思うんです(中島信也)
これからのマス広告は、「オピニオン」に集約されていくんじゃないか
いまは、大衆がバラけて、みんな個人になっちゃった。そうしたらこんどは、逆に「共有」とか「わかりあう」っていうことをすごく求めるようになって(佐藤尚之)
「犬を飼っている人は、犬の写真を撮るはずである」という発想(佐藤尚之)
日本人には、さわらないことで不足しているものを埋めようとする欲求が強い(伊藤直樹)
ミクシィの日記には、読んだ人がコメントをつけられるようになっていて、どうもそこでのやりとりにおもしろさがあるようなんです。でも、完成品だと誰もコメントしてくれない(谷山雅計)
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『広告も変わったねぇ。』 インプレスジャパン 天野祐吉・著
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4844326430
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◆目次◆
第1章 広告も変わったねぇ。―ぼくと広告と広告批評(天野祐吉)
第2章 それでも広告は表現でなくちゃ。(杉山恒太郎×天野祐吉)
第3章 CMはあいさつじゃないのかな。(中島信也×天野祐吉)
第4章 「明日の広告」って、手間はかかるけど楽しそうだな。
(佐藤尚之×天野祐吉)
第5章 消費者が広告を「する」時代、でしょ?(伊藤直樹×天野祐吉)
第6章 やっぱり変わるんだよねぇ、言葉も広告も。(谷山雅計×天野裕吉)
あとがき対談(松永光弘×天野祐吉)
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