【「最悪の決断」はなぜ起こるのか?】
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本日の一冊は、昨日ご紹介した『人は意外と合理的』とは切り口が違い、人はやっぱり非合理的、ということを事例と行動心理学を使って説明した一冊です。
※参考:『人は意外と合理的』
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「損失回避の法則」に引っ掛かり、死者あわせて584人という航空史上、最悪の事故を引き起こしたファン・ザンテン機長、泥沼のベトナム戦争を継続し、政治生命を奪われたジョンソン大統領、NBAのドラフトでマイケル・ジョーダンほか未来のスター全員をやりすごしてサム・ボウイを選んだブレイザーズ…。
どんなベテランでも引っ掛かる「SWAY(スウェイ)」の法則を説明しており、ビジネス上で賢い意思決定をするために有用な内容です。
滑稽なのは、われわれが採用面接でよく使う質問のほとんどがムダな質問であり(例:あなたを雇うべき理由は何ですか? 五年後にあなたは何をしていますか? なぜ前の仕事をやめたのですか?)一番有効なのは、「わが社について知っていることは?」であるという点。
本書が示しているのは、いかにわれわれが普段バイアスにまみれた意思決定をしているかという点。
本書は、そこから脱却するための心理学を説いた、貴重な一冊です。
株の売買から事業の立ち上げ、採用面接、会議にいたるまで、ありとあらゆる場面に役立つ貴重な内容です。
ぜひ一度読んでみてください。
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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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◆「スウェイ」の根幹をなす3つの法則
1.損失回避の法則
2.価値基準の法則
3.評価バイアスの法則
卵の価格が下がると、買う量は少し増える。だが、価格が上がると消費者は敏感な集団になり、価格が下がったときの二・五倍の強さで反応して、消費を控えるのだ
私たちは何かを得る喜びよりも、何かを失う痛みのほうをより強く感じる
可能性のある損失が大きければ大きいほど、人間はその損失を嫌う
背負っているものが大きいほど、私たちは不合理な決断に押し流されやすくなる
◆ファン・ザンテン機長がおかした失敗
・損失可能性に過剰反応をしたこと
・大きなものがかかっていたために、いつも以上にリスクをとろうとしたこと
あるプロジェクトに時間と資金を費やしたり、ある関係にエネルギーを注いだりすると、うまくいかないことがわかったあとでも、それを捨てることができない
損失回避とコミットメントという二本の見えない流れが合流すると、極端な楽観主義をもたらす
私たちは「ふさわしくない」人から聞く宣伝文句や考えを拒絶する一方で、尊敬されている人のアドバイスには無条件で従いやすい
ドラフトで遅く指名された選手ほどトレードに出されやすくなり、最終的にキャリアは短くなっている
ひとたび心にラベルを作ってしまうと、その区分の外にあって、違いをもたらす物事に気づかなくなってしまう
評価バイアスの罠のひとつは、私たちが恣意的な情報に頼りやすいということだ
老齢に対する否定的かつ外見的な感じ方は、その人を肉体的にも早く老けさせる
プロセスの公平性が、最終結果と同じくらい満足度に影響する
報酬の可能性をちらつかされると、かえってモチベーションが下がる
的はずれの異論を唱える者が、多くの被験者を正しい反対者に変える
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『あなたはなぜ値札にダマされるのか?』NHK出版 オリ・ブラフマン、ロム・ブラフマン・著
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◆目次◆
プロローグ
第1章 事故を分析する
第2章 コミットメントの泥沼
第3章 ホビットと失われた環
第4章 マイケル・ジョーダンと初デート型採用面接
第5章 躁うつ病の流行とカメレオン効果
第6章 フランスでは太陽が地球のまわりを回る
第7章 報酬とコカイン
第8章 異議を唱える正義
エピローグ スウェイを打ち破る
謝辞
訳者あとがき
原注
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