2008年11月6日

『逆境を乗り越える者』 ジェフリー・ソネンフェルド、アンドリュー・ウォード・著

【負けないリーダーの条件】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4270002875

世間一般のビジネス書は、「どうすればうまくいくか」を論じたものが多いのですが、本日ご紹介する本は、「どうすれば失敗するか」「失敗から立ち直るにはどうするか」を論じた珍しい一冊。

リーダーシップに関する論文や著書を持つ学者2人が、世界を代表するリーダーたちの失敗および復活劇を分析し、なぜ優れたリーダーが凋落するのか、また、どうしたら逆境を乗り越え、復活することができるのか、各種リーチも交えながら紹介しています。

自己を正しく認識すること、挫折を前向きにとらえること、使命の再発見をすること…。

本書を読む限り、再浮上してくる優れたリーダーには、どうも共通の特質があるようです。

もちろん、失脚はしないに越したことはありません。

本書では、なぜ華々しく成功したリーダーが失敗してしまうのか、その要因も併せて分析しています。

解雇された人、スキャンダルで失脚した人、さまざまな人物の実例と調査が載っているので、興味深く読み進めることができるでしょう。

現在順調にマネジメントできている人も、そうでない人も、心を引き締める意味で、ぜひ読んでみてください。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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リーダーと呼ばれる人々の価値は、彼らが享受している成功の果実で判断するべきではない。そうした人々の本当の価値は、苦労して築き上げたものを失うという悲劇に直面したときどうするか、ということに表れる

洞察力に優れたこうしたリーダーたちは、みずからの再起の物語を通じて人々を惹きつけ、その支持を得ることに成功した

ストレスの原因となっているものに正面から向き合い、それを取り除く方法を探ることも大切

ハワード・ガードナーは、逆境に負けない人たちは自己を正しく認識できる才能を持っていると指摘している

聖職者や公職にある者が社会の信頼を裏切れば、仕事とプライベートが比較的区別されているその他の人物よりもはるかに大きなダメージ

ダンは責める相手を探すことをしなかった。世界貿易センタービルで同じように深刻な被害を受けた他社と違い、これは誰それの責任だと犯人探しをすることなく、生き残ったことに感謝しながら会社を率いた。そうした彼の姿勢を見て、ライバルの金融機関が場所や技術的な支援を提供してくれただけでなく、顧客がサンドラー・オニールから離れなかったことは特筆に値する

トランプはテレビに出てくるカリスマとしての仮面を脱ぎ、自分に非常に大きな教訓を与えてくれたのは、典型的な成功者ではなく失脚した人物であったことをわれわれにこっそり打ち明けている

知性の高いビジネスリーダーが失脚する要因は似通っていることが判明した。失脚したときの病的な反応としてフィンケルシュタインが挙げたものとしては、横柄になる、会社が自分の周囲の状況をコントロールしていると思いこむ、個人の利益と会社の利益を完全に一致させようと葛藤する、自分は周囲から完全無欠な人物に見られていると決めつける、過去の間違った戦略に迷わず戻ろうとする、などがある

復活を果たせるかどうかの明暗を分けるのは、失脚の原因がその業界において求められるリーダーシップの資質を傷つけるものであるかどうか

組織を追われたリーダーの場合、英雄としての使命感がキャリアの原動力である場合が多い。またそれは、フランクルの言葉を借りれば、自分だけが実現できると感じる使命でもある

世界中が敵に思えるときでも、味方はかならずいる

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『逆境を乗り越える者』ランダムハウス講談社  ジェフリー・ソネンフェルド、アンドリュー・ウォード・著
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/42700028752
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◆目次◆

謝辞
CHAPTER1 挫折に負けるか、挫折を乗り越えるか
CHAPTER2 災難、失敗、挫折――試練の本質
CHAPTER3 復活をはばむ社会的障壁
CHAPTER4 復活をはばむ企業文化の壁
CHAPTER5 復活をはばむ離職理由の壁
CHAPTER6 復活をはばむ心理的ストレス
CHAPTER7 闘うか、闘いを放棄するか――問題に立ち向かう
CHAPTER8 味方とともに闘う――ソーシャル・ネットワークと周囲が受ける影響
CHAPTER9 名声を取り戻す
CHAPTER10 気概を示す
CHAPTER11 使命を再発見する
CHAPTER12 逆境を乗り越えて勝利をつかむ――勝者と敗者から学ぶこと
原注

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