2008年11月21日

『貞観政要』呉兢・著

【帝王学と言えばこの一冊】
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本日の一冊は、古来から帝王学の教科書として用いられ、北条政子や徳川家康も愛読したという古典中の古典。

国・企業を問わず、創業と守成とどちらが難しいかと問われれば、やはり守成ということになるでしょうが、本書はまさにこの守成の時代にどうやって組織を治めていくか、その点を説いた内容です。

名君の誉れ高い唐の太宗(李世民)とそれを補佐した名臣たちの問答から、繁栄の原理原則とリーダーの心構えが学ぶ。

ちまたにあるノウハウ書と違い、人間としてどうあるべきか。その根本が問われる、じつに深い内容です。

既に人の上に立っている方はおそらくお気づきのように、結局のところ経営とは、自らをどう処していくかの問題。

本書は、その問題を徹底的に追求した名君と、それを支えた名臣たちの思索の結果であり、その教えは、時代が変わっても色あせることがありません。

個人的には、太宗が自らを正すために三つの鏡を用いた、という話が気に入りましたが(銅・古・人)、漢字が難しくてパソコンでは表示ができなそうなので、気になる方は、ぜひ実物を読んでご確認ください。

仮名遣いも古典の割に平易で読みやすく、何よりも読んで身の引き締まる一冊です。

経営者、およびマネジャーに、ぜひ読んでいただきたい一冊です。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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君主たる者はなによりもまず人民の生活の安定を心掛けねばならない。人民を搾取して贅沢な生活にふけるのは、あたかも自分の足の肉を切り取って食らうようなもので、満腹したときには体のほうがまいってしまう。天下の安泰を願うなら、まず、おのれの姿勢を正す必要がある

明君の明君たるゆえんは広く臣下の進言に耳を傾けることであります。また、暗君の暗君たるゆえんは、お気に入りの家臣のことばだけしか信じないことであります

君は舟なり、人は水なり。水はよく舟を載せ、またよく舟を覆す

近ごろ、朝廷で政務を決裁するとき、時々、法令違反に気づくことがある。この程度のことは小事だとして、あえて見逃しているのであろうが、およそ天下の大事はすべてこのような小事に起因しているのである

どんなに曲がりくねった木でも、縄墨に従って製材すればまっ直ぐな材木がとれる。それと同じように、君主も、臣下の諫言を聞き入れれば立派な君主になることができる

郭の王は、善を喜びながらそれを用いようとはしませんでした。悪を憎みながら、それを退けることができませんでした。これが滅びた原因でございます

君子は一度受けた恩を生涯忘れませんが、小人は君子とちがって、すぐ忘れてしまいます

どんな時代にも、人材はいると思う。ただ、われらのほうがそれに気づかないだけのことではないのか

信賞必罰をもって臣下に臨めば、功なき者は勢力を失い、悪事をなす者どもはふるえあがって、みずからいましめるであろう

天下万民に君たる者は、天下をもって公器とみなし、一片の私心も抱いてはならぬものだ

『易経』にも、『驕慢を憎んで謙虚を好むのが人の道だ』とある

古人がこう言っている、『林にすむ鳥は、高い木をさがして、そのまた梢に巣をつくる。水にすむ魚は、深い淵を求めて、そのまた岩かげに穴をつくる。それでも人手にかかるのは、餌を貪るからだ』

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『貞観政要』徳間書店 呉兢・著
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4192419998
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◆目次◆

解 題
第一章 治世の要諦
第二章 諫言の機微
第三章 人材の登用
第四章 後継者の育成
第五章 名君の条件
第六章 帝王の陥穽
第八章 刑罰の論理
第九章 用兵の限界
第十章 守成の心得

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