2008年10月16日

『小さな会社の給与計算』平野敦士、藤井恵介・著

【小さな会社の給与の決め方】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4827204152

本日の一冊は、公認会計士と社労士による共著で、小さな会社の給与計算に特化したマニュアル書。

給与は、健全経営を実現するため、また社員の満足度を高めるために極めて重要なファクターですが、その設定・変更にはさまざまな労働法規の制約が絡んできます。

本書で紹介しているのは、労働基準法をはじめとする法律知識と、法律に則り、かつ会社を成長に導く給与計算の知識。

「労働組合のない会社は現物で給与を支払うことができない」
「給与は月1回以上支払わなければいけない」

など、意外と知らない給与支払いの5原則、従業員とトラブルにならないための対応策など、知っておいて損のない情報が並んでいます。

各種手続き、届け出、保険料の計算方式など、かなり具体的なところまで踏み込んで書かれているので、これ一冊で給与計算に必要な基礎知識はほとんどマスターすることができます。

各種書類のフォーマット、サンプルも掲載されているので、じつに有用な一冊だと思います。

現在、給与制度の見直しを考えている中小企業の経営者、人事担当者に、ぜひおすすめしたい一冊です。

————————————————————
▼ 本日の赤ペンチェック ▼
————————————————————

給与計算は一見簡単そうに思えるかもしれませんが、労働基準法などたくさんの労働法規が基礎になっているため、担当者には各種の法律の知識が必要とされます

給与は月1回以上支払わなければいけません

遅刻や欠勤、早退などで仕事をしなかった時間(労務の提供がなかった時間)がある場合には、その分の給与を支払う義務は会社にはありません。この原則のことを「ノーワーク・ノーペイの原則」といいます

就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は、1回の額が平均賃金の1日分の半額を超え、総額が1賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えてはならない

会社の業績不振や地震などの天変地異によって、従業員に自宅待機を命じた場合、従業員には何の責任もありません。その間、従業員は働いているわけではありませんが、会社は休業手当として平均賃金の60%以上を支払わなければなりません

とくに「服務規律」「制裁」「解雇」の条文は重要で、ここに不備があると、問題社員を処分することができなくなってしまいます

本人の給与希望額と、入社時の役職や資格等級に対応した給与額との間に差がある場合には、その差額を”調整手当”として暫定的に支払う

入社時の労働契約締結時に、勤続年数によって定期昇給があるような給与テーブルが提示されていたり、給与の減額が懲戒処分以外にはないという前提の労働契約であった場合は、会社の一存で給与の減額はほとんどできない

就業規則や給与規程に賞与の支給額が記載されている場合には、必
ず支給しなければいけなくなります

労働基準法で義務付けられた法定休日は1週間に1日となっています。そのため、1週間に2日の休日を設定している場合、法定休日となるのはどちらか1日だけです

賞与に住民税はかかりません

1週間の所定労働時間が20時間以上で、かつ1年以上雇用する見込みがある場合には、雇用保険に加入しなければなりません

————————————————
『小さな会社の給与計算』平野敦士、藤井恵介・著
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4827204152
————————————————

◆目次◆

まえがき
第1章 会社はなぜ給与でトラブルのか
第2章 給与を支払う者が知っておくべき30のポイント
第3章 給与計算を始める前にしておくこと
第4章 給与計算の手続き(支給額・控除額・差引支給額)
第5章 従業員の入退社やその他に関する手続き
第6章 給与体系の整理・把握と人事評価制度の導入
実用付録 巻末資料

この書評に関連度が高い書評

同じカテゴリーで売れている書籍(Amazon.co.jp)

NEWS

RSS

お知らせはまだありません。

過去のアーカイブ

カレンダー