【執筆する人は必読の力作】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4062879409
世の中には、いい意味で読者の期待を裏切ってくれる本というのがあるものですが、本日の一冊は、まさにそんな内容です。
表向きは、「『コリアン世界の旅』で大家壮一ノンフィクション賞と講談社ノンフィクション賞をダブル受賞、『アジア 新しい物語』でアジア太平洋賞を受賞した著者が、ノンフィクションの書き方について、詳しく述べた一冊」なのですが、実際には優れたノンフィクションガイドであり、表現の精神と奥深さを感じさせる、優れた読み物です。
※参考:『コリアン世界の旅』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4062563193/
※参考:『アジア 新しい物語』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4167202093/
執筆のテーマをどう決めるか、という話にはじまり、資料集めの方法とインタビューの秘訣、原稿の書き方まで、幅広く網羅しています。
後半には、人物ノンフィクション、事件モノ、体験モノなど、ジャンル別の書き方と見本が示されているので、著者のいわんとしていることが、明確に伝わってきます。
「チャップリンのステッキ」を探す、「事実によって語らしめる」
「一食を抜いても本にお金を注ぎ込む」「『風景』に気をくばる」…。
「書く」仕事で成功を収めたい方には、ぜひ読んでほしい心構えと具体的テクニックが満載。なかでも著者をはじめとする達人たちのインタビューテクニックは、ここだけでも読む価値があります。
例として紹介されている作品も、優れたものが多く、すべて読み尽くしたい衝動にかられるほどです。
久々に熱くなれる本に出合った気がします。みなさんもぜひ、読んでみてください。
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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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チャップリンが違っていたところが、ひとつだけある。それは、ス
テッキを取り入れたことだ。あの一本のステッキこそ、山高帽や付
け髭やドタ靴に統一感を与え、いままで見たこともないコメディア
ンが出現したと観客に印象づけたというのである。テーマを決める
ときには、この「チャップリンのステッキ」を見つけさえすればよい
◆テーマ決定のチェックポイント
1.時代を貫く普遍性を持っているか
2.未来への方向性を指し示せるか
3.人間の欲望が色濃く現われているか
4.テレビなどの映像メディアでは表現できないか、もしくは表現
不可能に近いか
5.そのテーマを聞いた第三者が身を乗り出してきたか
ノンフィクションでは、論に走るのではなく、あくまでも事実の集
積を通して書き手の主張を伝える。「事実によって語らしめる」の
が、ノンフィクションの”王道”
取材のとき、絶対に避けたいのは、先方に「こいつは俺のことを何
も知らないのだな」とか「この人、まるで無知じゃないか」と思わ
れることだ
ビジネス関連の記事なら、日本橋・茅場町の東京証券会館(東京証
券取引所の近く)にある証券教育広報センター証券情報室(大阪と
名古屋にも開設されている)が充実している
電話取材で接した相手が本人とは別人であるおそれは、通常まずな
いけれど、メール取材においてその危険性ははるかに高い
「取材の相手を”裸にする”最も有効な手段はメモ帳と鉛筆を捨て
ることだ」(ルポライター 竹中労)
つねに心しておくべきは、目の前にいる人物のどこを取り上げて描
写すれば、読者にとってまるでその人物が眼前にいるかのようにい
きいきと思い浮かべられるか
あのケネディの写真を目の当たりにした瞬間、清新なイメージで売
り出し中だった細川の野心の臭いを嗅ぎとった気がしたものである
書き出しに鉄則はない。読者に「おや?」と思わせれば、どんな書
き出しでもかまわない
「ジャーナリストとは、他人のファイン・プレイを探して世の中に
紹介する仕事だ」(作家 山口瞳)
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『調べる技術・書く技術』野村 進・著
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4062879409
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◆目次◆
プロローグ
第一章 テーマを決める
第二章 資料を集める
第三章 人に会う
第四章 話を聞く
第五章 原稿を書く
第六章 人物を書く
第七章 事件を書く
第八章 体験を書く
あとがき
本文で紹介したノンフィクション作品および主な参考文献
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