2008年5月16日

『ビジネス脳を磨く』小阪裕司・著

【ビジネスの本質的変化を読み解く】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/453226006X

本日の一冊は、中小企業向けのコンサルティングサービスを提供するオラクル・ひと・しくみ研究所の代表であり、日本感性工学会理事、静岡大学客員教授を務める著者が、昨今のビジネスの本質的な変化について論じた一冊です。

「今もなおビジネスのフレームは工業社会のフレームのままではないか」という問題意識を持つ著者が、現在のトレンドについて、事例を用いながら紹介しています。

表現も個性的で、「こぶとりじいさんのこぶはもらわない」という見出しのついた第二章では、変化の速い時代に真似することの問題を論じ、その代わりに思考のプロセスに着目することの必要性を説
いています。

実用的な面から見ても、「異様な出来事に目を向ける」「死に筋と決めつけてカットするのではなく、感性情報デザインが不適切なのではないかという目で見る」など、参考になる部分がいくつもあります。

もともと中小企業のコンサルタントとして活躍している著者だけに、企業規模の大小を問わずユニークな事例が紹介されているのが特徴。

ゼリア新薬工業の「うんちどっさり」のコピーや、「『あっ、こぼしちゃった』。せっかくの新年会を台無しにしたくないあなたへ」のコピーなど、参考になるものがいくつも紹介されています。

ぜひ読んでみてください。

————————————————————
▼ 本日の赤ペンチェック ▼
————————————————————

「うんちどっさり」あなたが製薬会社の営業担当だとして、こう大
きく書かれたPOPがライバル会社のヒット商品の売り場につけら
れていたら、どう思うだろうか

リザルトの時代には、過去の活動の結果に注目して計画を立て、活
動を左右する要因と結果の直線的な関係によって将来を予測しなが
ら、目標と活動の結果のズレに注目して進めていく方法が有効だった

ビジネスでは「感性」に焦点を合わせる必要がある

ひと言でいえば「感性とは人の高次情報処理機能」である

◆感性社会の3つの特徴
1.「これをやれば必ずこうなる」という決まりきった解答がない
2.今日の解は明日の解ではない
3.A社の解はB社の解ではない

かつての工業社会においては、他社の解をそっくり真似ることで成
功する確率が高まった。しかし、今日重要なのはむしろ真似ではな
く、「差異」や「らしさ」があることだ

先の見えない社会では、小さな物事から、大切なものを見通すことが重要

自分にとって「意味あるもの」として受け取れたもの、それが情報
である。そして、その情報が自分にとってぐっとくるかこないか、
それが情報の価値を左右する

適正価格は情報のすごさに基づいて決めてもいい

――読書をするならこの椅子だ
この切り口を軸に、機能の高さの解説や、あまりの座り心地のよさ
に店のスタッフが眠り込んでしまったエピソードなどを織り交ぜて
DMを作成して顧客に送った。そうしたところ、それまでとはまっ
たく違う売れ方をしたのである

お客さん一人ひとりを「情報系」と見たとき、こちら側が感性情報
を多く与えていくと、それを受け取って情報処理したお客さんの情
報系が更新される。このやり取りが、感性社会のビジネスの根幹だ

売れない商品があったら、死に筋と決めつけてカットするのではな
く、感性情報デザインが不適切なのではないかという目で見る。す
ると、そこに突如として売り上げ十八本が千二百本になる可能性が
広がるのである

現実やデータを収集・分析する際に今後注目すべき点がある。それ
は、異様な出来事に目を向けることだ

————————————————
『ビジネス脳を磨く』小阪裕司・著
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/453226006X
————————————————

◆目次◆

プロローグ
第一章 ナスの細胞に確かに水があるけれど
第二章 こぶとりじいさんのこぶはもらわない
第三章 価格ではない。付加価値でもない
第四章 花見はなぜ飽きないのか
第五章 誰の目の前にもリンゴは落ちている
第六章 パリにも、江戸にも、きっとあった
エピローグ
参考文献

この書評に関連度が高い書評

同じカテゴリーで売れている書籍(Amazon.co.jp)

NEWS

RSS

お知らせはまだありません。

過去のアーカイブ

カレンダー