2008年2月27日

『経営の未来』ゲイリー・ハメル、ビル・ブリーン・著

【久々に名著が来た!ハメルの新刊】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4532313805

本日の一冊は、世界的ベストセラーとなった経営戦略のバイブル、
『コア・コンピタンス経営』の著者、ゲイリー・ハメルによる待望
の新刊です。

※参考:『コア・コンピタンス経営』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4532190312/

経営論、戦略論の大家が久々に放つ大型新刊とあって、いやがおう
にも期待が高まりますが、冒頭から期待をはるかに上回る内容です。

著者は「はじめに」で、読者にこんな質問を投げかけます。
「誰があなたの会社を動かしているのですか」。

この答えは、経営者とか株主とか、従業員とかいった小さな話では
ありません。著者によると、「あなたの会社は、二〇世紀初頭に
『近代』経営管理のルールや慣行を生み出した人びと、とうの昔に
亡くなった少数の思想家や実務家によって、今現在もほとんど動か
されている」のです。

考えてみれば、私たちは思想の上に現実を積み重ねているのであり、
日々の経営も例外ではないのです。

本書は、この前提となる思想、つまり20世紀の経営管理を疑い、正
統派経営理論の反対を行く考え方で成功している企業を取り上げ、
われわれの「常識」にメスを入れています。

ゴアテックス、グーグル、ホールフーズ、セムコ…。いずれの企業
のケースも、我々の凝り固まったマネジメント観に衝撃を与えるに
は十分です。

「自発的に自らをつくり変えられる組織」
「変革のドラマに痛々しいリストラの衝撃が伴わない組織」
「反逆者が常に保守主義者に勝利する企業」
「社員の情熱と創造力に本当に値し、社員からそれぞれの最高の力
 を自然に引き出せる企業」

著者が夢見る組織を実現するのは決して容易なことではありません
が、この夢こそが、行き詰ったわれわれに明日の活力を、取り組む
べき課題を与えてくれます。

今読まずしていつ読もう。ここ2、3年で読んだ中でも最高傑作の
うちの一つです。

————————————————————
▼ 本日の赤ペンチェック ▼
————————————————————

企業の業績を究極のところで制約するものは、その企業の業務モデ
ルでもビジネス・モデルでもなく、その企業の経営管理モデルである

近代経営管理の仕組みは、気ままで独断的で、自由な精神を持つ人
間を標準やルールに従わせはするが、それによって莫大な量の想像
力と自主性を無駄にする

我々は、わずらわしい監督者の階層を築かずに何千人もの人びとの
活動を調整する方法を学ばなくてはいけない。人間の想像力を抑圧
せずにコストを厳しく管理する方法を学ばなくてはいけない

歴史上の長らく勝ち続けた軍隊のほとんどが、過去に別れを告げて、
兵士を鼓舞し、配属し、訓練し、配備する新しい方法を思い描くこ
とのできた軍隊だった

人間のあり方を規定するのは、その人が身を捧げる大義と克服しよ
うとする課題である

危機に見舞われなくても継続的な自己変革を行うことのできる組織
を築くこと。目指すべきはこれなのだ

今日では、従順さや勤勉さや知識はただ同然で買うことができる

ホールフーズの経営陣は、口にしたことを実行している。一〇〇対
一の給与格差はコミュニティの精神に反し、信頼よりも怒りを掻き
立てると考えて、いかなる個人の報酬をも会社の平均給与の一九倍
以下に抑えるサラリーキャップ制をとっている

ゴアのイノベーション・マシンの最大の推進力は、社員が自由に使
える時間である。すべての社員が週に半日の「遊びの時間」を与え
られており、その時間は――基本的な責務を履行している限りは―
―自分の好きなプロジェクトに充てることができる

グーグルは二〇〇四年に四半期ごとの「創業者賞」を導入し、会社
の成功に並外れて大きな貢献をしたチームに数百万ドル相当の制限
株を与えることにした

どのようなものが、適応力のベンチマークになるだろう。私が挙げ
るとすれば、生命、市場、民主主義、宗教的信仰、そして世界の最
も活気ある都市である

現在が未来への手引きとしてますます信頼できないものになってい
る世界では、競争に勝ち残れるか否かは、次に来ると思われるもの
に備えて計画することより、むしろ次に来る可能性があるものを絶
え間なく実験することにかかっている

————————————————
『経営の未来』ゲイリー・ハメル、ビル・ブリーン・著
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4532313805
————————————————

◆目次◆

謝辞
はじめに
第I部 なぜ経営管理イノベーションが重要なのか
第1章 経営管理は終わったのか
第2章 究極の優位
第3章 経営管理イノベーションの挑戦課題
第II部 経営管理イノベーションの実行例
第4章 目的で結ばれたコミュニティを築く――ホールフーズ・マーケット
第5章 イノベーションの民主主義を築く――W・L・ゴア
第6章 進化する優位を目指す――グーグル
第III部 経営の未来を思い描く
第7章 束縛から逃れる
第8章 新しい原理を見つける
第9章 周縁から学ぶ
第IV部 経営の未来を築く
第10章 経営管理イノベーターになる
第11章 マネジメント2.0を築く

この書評に関連度が高い書評

同じカテゴリーで売れている書籍(Amazon.co.jp)

NEWS

RSS

お知らせはまだありません。

過去のアーカイブ

カレンダー