【名著です】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4003361512
本日の一冊は、『エチカ』と並ぶスピノザの最高傑作。聖書批判と言論の自由を説いて当時、大問題となった一冊です。
※参考:『エチカ』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4003361547/
なぜ今さらこんな古典を…と思う方もいらっしゃると思いますが、
本書をピックアップした理由は、土井が現在の情報化社会に対し、
当時のスピノザと同様の危惧を抱いているからです。
最近話題となっているニュースや売れている商品を見ると、現在の
社会は随分と扇動されやすい体質になっていると感じます。
「二次情報のメディア」というインターネットの性質も手伝って、
無批判に受け入れられている考え方、サービスなどが、数多くの問
題を生みだしている、そんな気がしてならないのです。
スピノザはこの本で聖書批判を行ったわけですが、本書から学ぶべ
きは宗教うんぬんではなくて、理性を尊ぶことの大切さです。
恐怖が「迷信を生み、保ち、且つ育む」、「(民衆は)どんな迷信
にも決して長く安住してはいない。むしろ新しい迷信、まだ駄目な
ことの分らない迷信のみが彼等に最も気に入る」という著者の指摘
はもっともであり、なぜ今の世の中が乱れているかを説明する上で
大きなヒントとなりそうです。
とかく人との比較ばかりを行い、かえって幸福から遠ざかっている
現代人に、本書は貴重な生き方のヒントを提示しています。
「人間の真の幸福・真の福祉は智慧そのもの、真理の認識そのもの
の中に存する」「知性の完全性、認識の完全性の中にこそ我々の最
高善は存せねばならぬ」
文体が古く、やや読みづらいのが難点ですが、そんな苦労をものと
もしない感動が本書にはあります。
ぜひ読んでみてください。
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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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若し人間が自己の一切事を一定の計画通りに処理することが出来る
のであったら、或は若し運命が常に人間にとって有利に展開するの
であったら、人間は決して迷信に捉はれることがないであらう。然
るに人間は、全く途方にくれるやうな諸種の困難に屡々陥るもので
あり、又多くの場合、世間的幸福への飽くなき追求のゆえに、希望
と恐怖の間に痛ましくもたゆたふものであるから、人間の心はやや
もすれば手当たり次第のものを信ずるやうに傾きがちである
実に迷信を生み、保ち、且つ育くむ原因は恐怖なのである
迷信は希望、憎しみ、怒り、欺瞞などに依ってのみ保持され得ると
いふことである。迷信は理性の中にではなく感情の中にのみ、しか
も最も強力な感情の中にのみ根ざすのである
民衆は何時も変らず不幸なものであるから、そのゆえに民衆は、ど
んな迷信にも決して長く安住してはいない。むしろ新しい迷信、ま
だ駄目なことの分らない迷信のみが彼等に最も気に入るのである
若し、人間を誤謬の中に留め置き、恐怖心を宗教の美名で彩って人
間を抑制するに利用し、かくて人々をして隷属のために戦ふこと恰
も福祉のために戦ふ如くならしめ、且つ一人の人間の名誉心の為に
血と命とを捨てることを恥としてでなく却って最大の誉と思はしめ
るといったやうな、さうした事どもが若し君主政治の最高の秘訣で
あり、君主政治の最大の関心事であるとしたら、反対に、自由なる
国家に於ては、これ以上に不幸なことが考へられることも出来ない
し、試みられることも出来ないのである
人間の真の幸福・真の福祉は智慧そのもの、真理の認識そのものの
中に存するのであって、自分が他の人々より一層智慧があるとか、
他の人々は真の認識を缺いているとかいふことの中には絶対に存しない
知性は我々のよりよき部分であるから、我々は真に我々の利益を求
めようと欲すれば何にもまして知性の可及的完成に努力せねばなら
ぬ。何故なら知性の完全性、認識の完全性の中にこそ我々の最高善
は存せねばならぬからである
自然的知識は、我々に事物の認識を得させ・知識の卓越性を味はせ
た上で倫理学と真の徳とを教へる
物語への信憑はそれ自体では人間を幸福ならしめ得ない
最高の権利は各人のもとにあるのであり、又何人もこの権利を放棄
し得るとは考へられないのであるから、これからして宗教に関して
自由に判断し、従って又宗教を自己に対して説明し解釈する最高の
権利・最高の権能も各人のもとに在ることになる
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『神学・政治論(上)』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4003361512
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┃▼目次▼
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┃ 凡例
┃ 解説
┃ 緒言
┃ 第一章 預言について
┃ 第二章 預言者について
┃ 第三章 ヘブライ人たちの召命について。又預言の賜物はヘブラ
┃ イ人たちにのみ特有であったかどうかについて
┃ 第四章 神の法について
┃ 第五章 諸々の祭式が制定された理由について。又史的物語への
┃ 信憑について、換言すればさうした信憑が何故に、又如
┃ 何なる人々のために必要であるかについて
┃ 第六章 奇蹟について
┃ 第七章 聖書の解釈について
┃ 訳者註
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