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http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4478312192
本日の一冊は、朝日新聞の経済部記者として6年間、トヨタを密着取材してきた著者が、関係者50人以上に徹底取材して書き上げた力作。
2004年10月の朝日新聞社退社から約3年かけて世に出された、いわば著者のトヨタ取材の集大成です。
で、肝心の内容はどうかというと、さすがに読み応えがあります。
トヨタカルチャーの押しつけ本が多い中、本書は一貫してジャーナ
リスティックな視点を保ちつつ、その経営と人づくりの根幹に切り
込んでいきます。
時にはトヨタが触れて欲しくない過去の過ちや暗部にも切り込みな
がら、同社がどうやって改善・成長を続けてきたか、著者独自の視
点から描き出しています。
経済危機の影響を受け、半年間もゼロ生産が続いたトルコ工場がな
ぜ、最高品質の工場に生まれ変わったのか、なぜトヨタには目標管
理がないのか、トヨタの強さの本質は一体何なのか…。
これらへの答えを、関係者らの生の声を引用しながら説明しており、
土井がこれまで気になっていたトヨタの謎が、本書で一気に解けた、
そんな気がします。
強い競争力もブランドも、究極的には人がつくるもの。その本質を
改めて教えていただきました。
強い組織を作りたい経営者、必読の一冊です。
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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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恵まれない環境が、かえってトルコ工場の社員の自立心を高めた
ゼロ生産が続いていた二〇〇一年六月、トヨタ社長の張富士夫が欧
州への出張のついでにトルコにやってくることになった。本社の社
長が訪問中の一~二時間だけラインを動かしておこうか、とも小林
は考えたが、即座に止まっているありのままの工場を見てもらうこ
とにした。「経営者に包み隠さず悪い現状を見てもらい、総合的な
判断を誤らないようにしてもらうことが、現地の責任者の仕事だ」
と、小林は考えたからだった
「流行りのフラット型組織は、意思決定は早いと言うが、人材育成
という視点でどこまで機能するかは疑問。上司がいて、先輩がいて、
議論したり、怒られたりしながらそのなかで鍛えられないと、人材
は育たないのではないか」(元トルコ工場責任者・小林浩治)
極論すれば、「利益が出る」とわかっていても、プロセスが悪けれ
ば、あるいはプロセスに納得しなければ、仕事には取り組まない
意外なことに、これだけの利益を出しているトヨタだが、社内では
目標管理がない。売上高や利益をいくらまで伸ばそうといったよう
な数値目標もほとんどない
詳しく言えば、P→D→C→Aの後には「S」が来る。Sとは「ス
タンダーダイゼーション(標準化)」のことである
人の能力を引き出してこそ、人に優しい企業
トヨタは、徹底して議論する風土や社員の心構えやチームワーク力
など、外部からは見えにくい競争力を構築していくことが得意
「もう一度やらせてみて、成功したら大いに誉める。そうすると、
自信のなかった子に自信がつく」(トヨタ工業学園主査・石川潔和)
「手を汚さないで仕事ができるか」(創業者・豊田喜一郎)
人間尊重とは「その人の仕事の成果が世のため人のためになるよう
にしてやることではないか。無駄な時間を費やさせることは収奪に
他ならない」(創成期の生産調査部を支えた故・鈴村喜久男)
個人や組織に蓄積している暗黙知を形式知化し、社内で伝えやすい
ようにして、知らない人に教えることで、作業の効率化等は進むで
あろう。でも、肝心なことは、新しい暗黙知を生み出すことであり、
これが抜本的な変革につながる
お客に感動を与えられる営業でなければ、お客の気持ちは豊かにな
らない。横井は「だからブランドづくりは、人づくりなのだ」と説明する
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『トヨタ愚直なる人づくり』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4478312192
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┃▼目次▼
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┃ まえがき
┃ 序章 トルコ工場の復活に見るトヨタの本質
┃ 第1章 矛盾を包含するトヨタという会社
┃ 第2章 社内に張り巡らされる組織ネットワーク
┃ 第3章 現場を支えるモノづくりのエリートたち
┃ 第4章 世界に通用するマネジメント教育
┃ 第5章 柔軟かつ愚直な人事制度
┃ 第6章 協調と競争を生み出す関連会社とのネットワーク
┃ 第7章 世界企業の新たな課題 人づくりのグローバル化
┃ 第8章 トヨタはローマ帝国か
┃ 参考文献
┃ あとがき
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