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本日の一冊は、伝統話芸・講談の語り手として当代随一の人間国宝、一龍斎貞水(いちりゅうさいていすい)さんが、その話術をまとめた、注目の一冊。
講談の調子を再現、とまではいきませんが、氏の語りを髣髴とさせるテンポの良い文体で、話し手としての心得および技術が説かれた、じつにユニークな一冊です。
講談とビジネス。一見まったく違う世界のように感じますが、その根本は、「人間」という点でつながっています。
人前に立ったときに問われるのは、「話術に対する自信ではなく、
「自分が何者であるか」ということの自信」。
どんな面白い語りも、人柄や「らしさ」がともなわなければ笑って
もらえない。
「天狗になったら、それ以上の成長はない」。
いずれも、ビジネスの世界に生きるわれわれに、深い示唆を与えて
くれる言葉ばかりです。
なかでも土井が心を打たれたのは、「人が何者かになるとき、自分
一人の力でなるなどということはできない」という言葉。
人が謙虚であり続けるために、成長し続けるために必要なことが、
この一文で見事に表現されているのです。
人間国宝に、人として大切なものを思い出させていただきました。
もちろん文句なし、おすすめの一冊です。
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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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我々から見ていて、お客様がもっとも拒絶反応を示すときというの
は、はっきりしている。らしくない話し方をするやつが出てきたときで
す
前座は前座らしくしゃべっているのがいちばんいい。真打ちのよう
なしゃべり方、名人のようなしゃべり方は、本当に真打ちや名人に
なってからすればいいんです
若いうちは、そりゃあ一生懸命やってるやつの方が魅力があります。
熱が伝わる。誠実な人間であることが伝わる。それは若いからこそ
引き立つ魅力ですよね。間違えたら素直に頭を下げて、「すいませ
ん! 間違えました!」と言ってしまう若い前座の方がお客様に受
けるんです
本当はお茶だって自分でいれた方が美味いし、着物だって自分でた
たんだ方が安心できる。それをあえて前座修業の若い連中に任せて
いるのは、そういう些末な仕事でも、心を込めて一生懸命にやる人
間かどうか。そこに、思いやりがあるかないか。それを見たいから
だし、そういう人間を育てたいからなんです。そこから磨かれてい
る人間かどうかということが、人前で話をするときの魅力の差とし
て、必ず出るからなんです
人前で話をするのに、自信はなければいけません。ここで言う自信
とは、話術に対する自信ではなく、「自分が何者であるか」という
ことの自信です
ユーモアというのは、人柄に属するものなんです。その人の「人間」
から自然と出ているときに、初めて聞いている方は心おきなく笑え
る。無理をしちゃいけません
本題に入る前の「枕」が何のためにあるかといったら、一つにはそ
のためなんです。あれは軽い世間話などをして、お客様に肩の力を
抜いていただこうということでもありますけれど、同時に、その日
のお客様の雰囲気を我々が掴むためのものでもあるんです
講談というのは、本当の話と嘘を織り交ぜて、お客様に楽しんでいただくもの
人間の心には、いろいろな種類があります。人の痛みを知る心、悪
を憎む心、義理人情を尊ぶ心、異性に恋する心、家族を大事に思う
心……。そういう心に向けて、我々は語りかけていきます
われわれの世界でよく「天狗は芸の行き止まり」と申します。慢心
して天狗になったら、それ以上の成長はないんです
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『心を揺さぶる語り方』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/414088228X
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┃▼目次▼
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┃ 前口上
┃ 壱 話をする「人間」の態度と人柄
┃ 弐 「思いやり」としての話術
┃ 参 「表現力」を高める準備と工夫
┃ 四 どんな「心」に向けて語るか
┃ 伍 「花鳥風月」と「心」の色合い
┃ 六 立場を弁えて話すということ
┃ 七 話術を上達させる近道
┃ 八 「真剣さ」は人の心を動かす
┃ あとがき
┃
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