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http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4862760139
C・K・プラハードの『ネクスト・マーケット』以来、BOP市場(ボトム・オブ・ザ・ピラミッド:貧困層マーケット)に熱い視線が注がれていますが、本日ご紹介する一冊もこのBOPがらみ。
※参考:『ネクスト・マーケット』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4901234714
2006年にノーベル平和賞を受賞し、一躍有名となったあのムハマド
・ユヌスをも動かした稀代の起業家、イクバル・カディーアの夢の
起業物語です。
タイトルとなっている「グラミンフォン」とは、バングラデシュの
貧しい農村に携帯電話を広め、生産性を向上させようとするイクバ
ル・カディーアの夢のプロジェクトで、実際にこのビジネスは、現
在加入者1000万人を突破。売上は10億ドル以上、利益も2億ドルを
超えるようです。
しかし、世界の発展途上国の中でも最貧国に位置するバングラデシ
ュで、どうやって携帯ビジネスが成立したのでしょうか。
本書は、その秘密に迫り、BOP市場の将来性を示すとともに、熱
き起業家イクバル・カディーアの理念・アイデアに触れられる、じ
つに刺激的な一冊です。
初めて『ネクスト・マーケット』を読んだ時ほどのインパクトはあ
りませんが、BOP市場に関する本をまだ読んだことがない、とい
う人にはおすすめの一冊です。
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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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主にグラミンフォンの貢献により、バングラデシュの電話の普及率
は、過去十年間で五十倍となり、一〇〇人に十二台となった
バングラデシュの一億四八〇〇万の人口の大多数は農村部で暮らし
ている。そこにグラミンフォンは二十五万台のビレッジフォンを通
じて一億人に通信手段を提供してきた。ビレッジフォンを保有する
のは、グラミン銀行からマイクロクレジットを受けた女性起業家た
ち。「テレフォン・レディ」と呼ばれる彼女たちは、ビレッジフォ
ンを村人たちに使ってもらい、使用料金による収入でローンを返済
している。年間所得は平均で七五〇ドル。バングラデシュ人の平均
所得のほぼ二倍だ
「外国人投資家」の支援を受けて「現地の起業家」が「IT」を輸
入する――この三つの力が、厄介な政府と巨額の援助で歪んだ市場
によって長く抑圧されてきた国を成長させる原動力となった
カディーアは、人々が黒と見るときに白と見るような才能を持って
いた。彼は、魅力的でないもの――困窮しているお粗末なビジネス
――こそが、実は魅力的な投資対象となることを知った
バングラデシュは低地で人口密度が高いという、携帯電話サービス
にとっては完璧な条件を備えている上に、人口は一億二〇〇〇万に
ものぼり、競争はないに等しかった
お金を貸すことがなぜ貧困の解決策となるのかと尋ねられたとき、
ユヌスはこう答えた。「経済学者の中には、雇用を創造することが
貧困問題の解決策だと言う人がいる。しかし、雇用は正しく創造さ
れなければ、貧困を永続させるだけだ。人間としての基本的なニー
ズを満たす金額以上に稼げないのであれば、雇用は人々を永久に貧
困の中に閉じ込めてしまうだろう。したがって、雇用されるよりも
資金を借りて自営することの方が、その人の財政を改善する上で、
ずっと大きな可能性を持っている」
情報はクレジットと似ている。クレジットとコミュニケーションは
選択肢を狭めることなく、人々に力を与える
どんな技術も、それを実際に使う人々のために開発されるべきで、
使う人にとって適切な寸法でなければならない
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『グラミンフォンという奇跡』
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┃▼目次▼
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┃ INTRODUCTION 「外燃機関」となる三つの力
┃ CHAPTER1 「つながる」ことは生産性だ
┃ CHAPTER2 グラミン銀行と先駆者たち
┃ CHAPTER3 牛の代わりに携帯電話
┃ CHAPTER4 投資するのか、しないのか。それが問題だ。
┃ CHAPTER5 グラミンフォン、誕生
┃ CHAPTER6 貧困国から世界クラスのプレーヤーへ
┃ CHAPTER7 BOPで広がる野火
┃ CHAPTER8 時代を一気に飛び越えろ
┃ CHAPTER9 援助ではなく、ビジネスチャンスを
┃ CHAPTER10 携帯電話を超えて
┃ CHAPTER11 静かなる革命
┃ エピローグ
┃ 謝辞
┃ 訳者あとがき
┃
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