2007年4月15日

『孤独と人生』

【】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4560019843

BBMの1000号を飾るにふさわしい本を選んでいて遅くなりました。
おかげで、納得できる一冊を選べたと思っています。

土井はこれまでに999冊、哲学的な啓蒙書から功利的な処世術・ビジネスを説いた本まで、さまざまな本を紹介してきましたが、ほとんどの本は、人生の断片をつづったものに過ぎなかったと思います。

本日ご紹介する一冊は、年齢問わず、ありとあらゆる人が学ぶべき、「孤独」と「人生」に関する論考です。

われわれの人生には、本来、孤独がつきものですが、現代人の多くは、孤独を避け、本来の人生の楽しみ方を見失っています。

19世紀最大の哲人、ショーペンハウエルが書いた本書は、富や名誉・名声を追い求める現代人をあざわらうかのように、人生の本質を抉り出し、「孤独」の持つ本来的な価値を教えてくれます。

いわく「孤独を愛さないものは、自由をも愛していない」。

どうやらわれわれは、自らの心の弱さゆえに、本来望んでいる人生とは違った方向に歩みを進めてしまうもののようです。

厭世的なことで知られるショーペンハウエルですが、本書が題材とするのは、「人間の幸福について」です。

一見、幸福とは程遠い「孤独」がもたらしてくれる恩恵。その恩恵を思い出すためにも、ぜひ読むべき一冊だと思います。

1000号記念の一冊。アマゾンで見る限り、出版社の在庫が怪しいですが、ぜひ入手して読んでみてください。

時代のせいか、若干の差別表現が含まれていますが、内容的には文句なし、イチオシの一冊です。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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「幸福とはなまやさしいことではない。われら自身のなかにそれを
見いだすこともむずかしいが、われら自身の外にそれを見いだすこ
とはできない」(シャンフォール)

われわれの生活の幸福にとって、われわれがそれであるもの、つま
り人格がまず最初にたいせつであり、もっとも本質的なものである

われわれができる唯一のことは、与えられた人格からできるかぎり
利益を得るように利用し、ついで人格に即した努力を重ね、おのれ
の人格にふさわしいような方向におのれを鍛えて、ほかのあらゆる
措置を避け、さらには人格にこれならぴったりするといった地位、
職業ならびに生活方式を選ぶことである

精神の豊かな人はなによりもまず、苦痛のないこと、ぶざまな姿に
ならないこと、平穏と閑暇を、つぎに静かで控え目な、それでいて
できるだけ人に非難されないような生活を求める。したがってこう
した人は、いわゆる人間といくらか知り合いになったあとは、世を
はなれた生活を求める。偉大なる精神の持主になると孤独を選ぶよ
うになる。なぜなら、人はおのれに蔵するところが大きければそれ
だけますます外から求めるものが少なくなり、またそれだけ外部の
事物は彼を左右することができにくくなるからだ

富とは海水みたいなもので、飲めば飲むほど喉がますます渇いてく
る。名声についても同じことがあてはまる

名声は長つづきするものであればあるほど、それだけ遅くやってくる

後世の人びとがその人について知るということではなく、その人の
なかに何世紀にもわたって保存され、かつ熟考されるに値する思想
が生まれるということが真の幸福なのである

生きていくためにあまり大がかりな準備をすることは最大の愚挙で
ありながら、これがきわめてひんぱんに行われている(中略)まと
もに天寿をまっとうする人などはきわめてかぎられている。たとい
長生きしたとしても、もくろんでいた計画とくらべれば、人の生涯
などは短いものだ

なんぴとも完全におのれ自身であることが許されるのは、その人が
一人でいるときだけである。したがって孤独を愛さないものは、自
由をも愛していない

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『孤独と人生』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4560019843
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■目次■

はじめに
第一章 基礎になるまえがき
第二章 人にそなわるものについて
第三章 人が所有するものについて
第四章 他人がいかに思うかについて
第五章 さまざまな教訓と原則について
第六章 年齢のちがいについて
あとがき

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