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http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4062137259
本日の一冊は、小さなリース会社であったオリックスを巨大な金融コングロマリットに育て上げた稀代の経営者、宮内義彦の「闇」の部分にフォーカスした一冊。
氏は、小泉政権当時、規制緩和推進の旗振り役として振舞いながら、同時に民間企業としてその利益にあずかった疑惑が持たれていますが、本書はその真相に切り込んだ、興味深い一冊です。
メディアの取材に対し、規制緩和は「戦後最大のビジネスチャンス」と喝破。村上ファンドの村上世彰氏や日銀の福井総裁、ライブドア堀江貴文氏との関係についても黒い噂が絶えない宮内氏。
本書は、その周辺の証言やメディアの報道を元に、その素顔と利権に迫った、興味深いドキュメントです。
旧来の日本企業であれば、おそらく開花しなかったであろう才能が、オリエント・リースの二代目、乾氏によって見い出され、やがて暴走していく。
経営者というものは、いつの世も心によって育まれ、心によって滅びていくものですが、宮内氏の場合も、例外ではなかったのかもしれません。
企業は社会の中でどうあるべきか、そしてわれわれは経営者としてどう生きるべきか、そんなことを考えさせられる一冊です。
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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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小泉純一郎内閣のもとで、宮内が「旗振り役」を務めてきた規制改
革の「影の部分」が指摘されるようになった。特に、規制改革の結
果、大都市と地方の経済格差が拡大し、賃金格差が生じたことが社
会問題となっている
宮内は公人と私人(企業人)の立場を実に巧みに使い分ける。公人
としては参入障壁が高い分野の扉をこじ開け、企業人としては先頭
に立ってその分野に新規参入する
小泉首相という後ろ盾を得た宮内は、農業・医療・教育など既得権
に守られた分野の参入障壁の撤廃に力を入れた
「株式会社病院」の第一号となったのが、前に述べたオリックスグ
ループが出資するバイオマスターである
オリックスの農業ビジネスに参入する意図は、明々白々である。農
業の規制緩和が進めば、企業が農業株式会社をつくって相次いで参
入してくる。こうしたニューカマーの農業株式会社に対する資金供
給や農機具のリースで大きな商機が生まれる
村上ファンドの元社員は週刊誌の取材に、こう答えている。「村上
代表は宮内さんに頭が上がらなかった。社内では月に一回必ず取締
役会が開かれ、村上代表はすべての投資案件をはかっていたが、そ
こにはオリックスの社長室から社外取締役がお目付け役として出席
し、宮内さんに細かく報告があげられていた」
米国基準のオリックスはリース資産を貸借対照表に載せない。借り
手は日本基準なので貸借対照表に現れない。つまり、リース資産は
どちらの貸借対照表にも出てこない、”お化け”となるのである
オリックスはパチンコ店やラブホテルを主力にしたクロス販売で稼
いでいるのである。それは、宮内がリース時代に身につけたノウハ
ウであった
宮内の球団オーナーとしての振る舞いは、違う。「新規参入の伝道
師」が「新規参入の阻止」を強力に働きかけたのである。宮内が言
行不一致をさらけ出したのが、プロ野球騒動だった
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『「小泉規制改革」を利権にした男宮内義彦』
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■目次■
序章 アウトサイダーからインサイダーへ
第一章 規制緩和を糧として
第二章 村上ファンドと二人三脚
第三章 「すべてが最初」をモットーに
第四章 生身の宮内義彦
第五章 言行不一致
第六章 本当は何を変えようとしたのか
第七章 アウトサイダーに戻る宮内義彦の運命
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