2007年1月10日

『売れる仕掛けはこうしてつくる』

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http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4532312981

本日の一冊は、「ファブリーズ」「ヘルシア緑茶」「フィット」など、最近のヒット商品とそのマーケティング手法を、マーケティング専門の執筆陣がまとめた一冊。

ニッチ商品だったファブリーズを、室内消臭・室内芳香剤の巨大マーケットに浸透させたP&G、あえてコンビニだけに流通を絞って大成功を収めたヘルシア緑茶、商品ではなくブランドの精神にフォーカスして大成功を収めたナイキなど、さまざまな事例が各15ページ程度でコンパクトにまとめられています。

ほかにも、CCC(TSUTAYA)やホンダ、シャープ、オオゼキ、グリコなどの事例が紹介されており、関係の業界の方にとっては、興味をそそられる内容ではないでしょうか。

華々しい成功の裏に隠された地道な努力、勇気ある決断、そしてそれらのアクションを支えるコスト構造など、外からはなかなか見えない部分にまで切り込んだ点が、じつに刺激的です。

任天堂やノードストロームなど、古くから紹介されているような事例もありますが、全体的には読み応えのあるケース集だと思います。

マーケティングに携わる方にとっては、他のマーケターの仕事を見て発奮する、良いきっかけだと思います。

ぜひ読んでみてください。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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P&Gのファブリーズ・チームは、あきらめなかった。彼らは、間
接的なアプローチをとった。部屋の臭いを取りたいというニーズを
持つ人たちに対して、「その原因は布だ」と知らせることによって、
彼らのニーズを「布の臭いを取りたい」というニーズへ転換させよ
うと試みたのである

テレビ広告を大量に投入するような商品は、コンビニエンスストア
だけではなくスーパーなど他の販路でも販売する、というのが常識
的な対応である。ところが、花王は違った。販路をコンビニエンス
ストアに絞りながら、同時にテレビ広告を投入するなど積極的なプ
ロモーションをおこなった(中略)花王の対応を評価したコンビニ
エンスストア各社は、ヘルシア緑茶の販売に力を入れた

製品(シューズ)ではなく、精神(スピリッツ)に目を向けること
で、ナイキは大切に守ってきたものを継承しながら、新たなマーケ
ティングの可能性を手にすることになった

経営者がどのように事業を定義するかによって、そのマーケティン
グ・マネジメントや成長に向けてのシナリオは大きく異なったもの
になっていたはずである

モスバーガーは、マクドナルドとは異なり、原材料費などの変動費
の比率が高く、店舗や設備、広告などの固定費の比重が低い。その
ため、損益分岐点が低くなり、販売数量を増やそうとする圧力はマ
クドナルドと比べると相対的に弱いものとなる

グリコの特徴はその栄養価の高さだったが、もう一つ、グリコには、
忘れてはならない特徴があった。それは「おまけ」である

江崎グリコが「青春のメロディーチョコレート」を発売できたのは、
タイムスリップグリコが単におまけを売りにした商品でなく、「タ
イムスリップ」を売りにした商品だったからである

ブランドはメディアである。いいかえれば、ブランドは大きな器の
ようなものである。食事の際にわれわれは、器を直接味わうわけで
はないが、器をうまく用いることで、料理の味わいや楽しみを何倍
にも膨らますことができる。そして器は、食事を終えた後も、手入
れや管理さえ怠らなければ、さまざまなかたちで何度も利用するこ
とができる。マーケティングにおいて大切なのは、こうした間接的
な働きを見逃さずに活用するとともに、その育成を怠らないように
することである

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『売れる仕掛けはこうしてつくる』
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■目次■

第I部 これまでにない市場をつくる
第II部 市場づくりの後ろ盾
第III部 市場との関係を強みに変える
第IV部 絶えず変わり続ける市場への対応
第V部 他の追随を許さない強みを築く

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