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本日の一冊は、高名な美術史家であるエルンスト・ゴンブリッチが、1935年に書いた名著を再刊したものです。
献辞にあるように、もともと本書は、イルゼと呼ばれる少女に向けて書かれたもの。
そのため、あたかも紙芝居を見ているかのような臨場感で、世界史の壮大な物語が語られており、じつに興味深く読むことができます。
世界史を学ぶことには、さまざまな意義があると思いますが、本書がとくに優れているのは、若い人に世界史のおもしろさと意味を伝えている、という点。
とくにアレクサンドロス大王や、カエサル、カルル大帝など、偉人たちの物語とエピソードは、これからの社会を担っていく若者たちに、よい刺激を与えてくれるものと思われます。
われわれは世界史から何を学ぶべきなのか。そしてその歴史を作った偉人たちは、世界をどのようにとらえ、何に挑んでいったのか。
たまに歴史を紐解きたい、と思ったら、ぜひ読んでみてください。
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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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エジプト人の宗教には、多くの不思議がある。なかでもとくべつな
不思議は、彼らが、人は死ぬとその魂は肉体をはなれる、しかしい
つの日かその魂はふたたび肉体を必要とする、と信じていたことだ
アテナイ人の生まれつきの性格なのだ。つねに新しさをもとめ、つ
ねにこころみ、けっして満足すること、落ち着くことがないのだ。
だからこそ、ペルシア戦争後の数百年のあいだに、小さな都市アテ
ナイの人間の精神のなかで、東方の大帝国での数千年間以上の多く
のことが、起こりえたのだ。この時代に彼らが考えたこと、描いた
こと、詩でうたったこと、若者たちが広場で、老いた者たちが市庁
舎で、語り合い、討論したこと、それをわたしたちは今日なお、こ
ころの栄養として生きているのだ
真に生きることは、おそらくもっとむずかしい。アテナイ人がえら
んだのは、このよりむずかしい道であった。楽しく、快適に生きる
ことではない。意味をもつ生き方である。死んだときに何かがのこ
るように生きること、後のひとが何かを得る生き方である
ペルシアに向かったときのアレクサンドロスは、自信に満ちていた。
彼は、自分の持ち物すべてを友人たちにあたえた。おどろいて「あ
なたには何ものこらないではないか」と問うと、彼らに王は、「い
や、未来がある」と答えたという
彼ら(ローマ人)は、いちど何かにとりかかると、それを最後まで
やりとげた。たとえ二〇〇年かかっても。もともと彼らは、アテナ
イ人のように尻の軽い羊飼いではなく、ひとところに腰を据えた、
愚直な農民であった。彼らの何よりの関心事は、財産、家畜、土地
であった
よき統治者であるためには、貧しさにあえぐ農民を助けなければな
らない。人びとがまなべるようにしなければならない。人間がこれ
まで考えたこと、書きのこしたことを大事に守らなければならない。
よい統治者は、すべてを自分できめなければならない、まさに民族
という大きな家族の父親であらねばならないのだ。カルル大帝は、
まさにそのような人物であった
「もっともへつらう者にけっして目をかけてはならない。反対に、
よかれとおまえの気にさわることをあえて口にする者を重んぜよ。
楽しみのために仕事をおそろかにすることがあってはならない。休
養と気晴らしの時間を定めた、規律ある暮らしを設計せよ。すべて
の注意を政務に向けよ。何かを決める前には、できるだけ多くの意
見に耳を傾けよ。必要なとき利用できるよう、可能な限り多くのす
ぐれた人間を知る努力をせよ。だれにもやさしく、けっして侮辱す
ることばを口にしてはならない」(ルイ十四世が孫におくった手紙)
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『若い読者のための世界史』
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■目次■
※多すぎるので省略します
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