2006年11月11日

『知ることより考えること』

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4104001082

本日の一冊は、ベストセラー『14歳からの哲学』で知られる文筆家、
池田晶子さんによるコラム集です。

※参考:『14歳からの哲学』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4901510142

もともと雑誌「週刊新潮」に連載されていたものをまとめたもので、
収録されているのは、2005年7月7日号から2006年7月27日号まで。

フリーターやニートの問題、アンチエイジング、マンション耐震偽
装問題、格差社会など、その時々のニュースやキーワードに触れな
がら、善悪とは何か、生きるとは何かを考えさせてくれる思索集です。

前著でも批判されていた通り、ちょっと人を見下したような物言い
が鼻につく方もいらっしゃると思いますが、情報過多の中、考える
ことを忘れがちな現代人にとっては、いい刺激になる一冊だと思います。

ありがちな論調をそのまま受け入れるのではなく、ちょっと立ち止
まって考えてみる、そんなきっかけとなる一冊だと思います。

賛同するもよし、反発するもよし。著者のものの考え方に触れ、改
めて自分のフィルターを意識してみる、いいきっかけではないでしょうか。

———————-
■ 本日の赤ペンチェック
———————-

科学による説明は、いかにして見るかの説明であって、見ることそ
れ自体の何であるかの謎には、全く触れていないのである

自分を自分と認めるのは自分でしかない。自分を認めるために他人
に認められる必要はないのである。なのに、そこで他人に認められ
ることを必要とするのは、自分で自分を認めることができない、自
分というものがそもそも「ない」からである

どうあがいてみても、やっぱり人生は何ものでもないのである。そ
れ自体が暇つぶしなのである。存在が存在するということに理由が
ないからである

若者は型にはめるべきである。「自分探し」という不毛を封じるた
めに、彼らには型が必要なのだ

老いを拒絶し、思索も知らず、若さと健康の快楽にしがみつき続け
る人間とは、早い話がサルである

どうして人は、四十歳の体で百歳の知恵をもとうと、願わないのだろうか

みんなが悪いことをしているからといって、自分が悪いことをして
いい理由にはならない

状況次第で人間の善悪が変わるのなら、善悪なんてものがどこにあ
ることになるのか

人は言葉が自分の財産であるなど、まさか思いもよらない。しかし、
言葉が財産、自分の価値であるということは、その人の話す言葉を
聞けば、その人の価値は瞭然だという事実に明らかである

もしも賢い人間になろうと思うなら、あるいは賢い人間に育てよう
と思うなら、人間には学力などない方がよいのではないか

景気がよくなると、だいたい人は、節操が悪くなる。衣食足りて礼
節を知るというのが嘘なのは、衣食足りて哲学をするというのが嘘
なのと同じである

「国家の品格」よりも「人間の品格」の方が先ではないか

————————————————
『知ることより考えること』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4104001082
————————————————

■目次■

第一章 自分とは何か
第二章 悪いものは悪い
第三章 人間の品格
第四章 哲学のすすめ
あとがき

━━━━━━━━━━━━━━━
■ご意見、お問い合わせは、
eliesbook@yahoo.co.jp
■マガジン登録、変更、解除
http://eliesbook.co.jp/bbm/
━━━━━━━━━━━━━━━

この書評に関連度が高い書評

NEWS

RSS

お知らせはまだありません。

過去のアーカイブ

カレンダー