2006年8月2日

『決断の本質』

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4901234943

本日の一冊は、ハーバード・ビジネススクールで、経営意思決定の
コースを受け持つマイケル・A・ロベルト教授が、組織を成功に導
くための意思決定プロセスを論じた一冊。

意思決定論の世界では既に常識。でも、一般のビジネスパーソンは
まだまだ知らない、という数々の研究成果から、リーダーとして人
を導くためのヒントをたくさん提示しています。

「独断か、合議か」といったありがちな二元論ではなく、リーダー
が意思決定プロセスをケアすることによって、より良い決断が生ま
れる、という主張を展開している点が特長です。

また、本書の中で著者は、ルールを破って5人が死んだ「エベレス
トの悲劇」や、打ち上げ時に断熱材の破片が機体に衝突したという
コロンビア号の事件など、意思決定のまずさが災いにつながった例
をいくつか挙げ、多くの組織が陥りがちな罠を明らかにしています。

チーム内の政治やカルチャーが、いかにして失敗の原因となるのか、
そしてこれらの罠をどうやって避ければいいのか。

本書のなかには、まさにその具体的方法が書かれています。

人間が本来持つ自尊心や情熱を、どうやって組織の成功につなげて
いくか。組織を率いる立場にある方は、ぜひ読んでみてください。

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■ 本日の赤ペンチェック
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コンセンサスには重要な要素が二つある。それは、決定された行動
方針に対する高度のコミットメント、およびその理論的根拠に対す
る強固な共通の理解である

大抵の人は、「埋没費用の偏見」の影響を受けやすい。つまり、時
間や金銭、その他の資源をかなり投資している場合には、欠陥やリ
スクがある行動方針に対しても、コミットメントを増やす傾向があ
る。前進するかどうかを決めるときに埋没費用に執着して、「損失
を取り戻そうと、ますます深みに落ち込む」ケースは多い

意思決定のプロセスが一進一退で進むにつれて、多くの学習と改善
の機会が生まれる(中略)実効性のある意思決定を下すには、反省
や修正、学習のための健全な小休止が必要なのだ

「現実を直視せよ。……世界をありのままに見よ、こうあってほし
いという目で見てはならない」(ジャック・ウェルチ)

◆意思決定プロセスの4C
composition:メンバー構成
context:コンテキスト(背景)
communication:参加者間のコミュニケーション
control:意思決定のプロセスと内容をコントロールするための方法

心理的に安全を感じさせるような雰囲気を作り出せば、組織内の全員
が協力して問題解決にあたり、また学習する意欲を起こす

意思決定プロセスから情熱や感情を排除してしまうことは、ほぼ不可
能であるだけでなく、逆効果になりかねない

◆他人に「自分の意見は確かに尊重されている」と思わせる方法
1.プロセスのロードマップを用意する
2.公正な物事の見方を強調する
3.積極的に意見を聞く
4.意思決定の根拠を説明する
5.意見をどのように反映したかを説明する
6.謝意を表明する

「人は自分の意見を聞いてもらいたいのだ。そして聞いてやりさえ
すれば、次にほしがるのは、本当は結論なのだ」(あるマネジャーの言
葉)

自制心というのは、恐れを感じずに他人の意見を受け入れる能力だ

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『決断の本質』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4901234943
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■目次■

1.意思決定プロセスを導く
2.意見の対立を促す
3.コンセンサスを形成する
4.新たなリーダーの条件

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