2006年7月24日

『ターゲット・メディア主義』

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4883351513

本日の一冊は、元電通の著者が、マスメディアの衰退と変容、そし
て雑誌をはじめとする「ターゲット・メディア」の時代を訴えた、
注目の論考です。

著者によると、メディアは大きく「報道系メディア」と「情報系メ
ディア」に分けられ、最近のマスメディアは、従来、報道をキラー
コンテンツとしてきた新聞やテレビでさえも情報系に振れてきてい
る、とのこと。

最終的には、「メディアは『みんな』のためのマス・メディア、
『わたしたち』のためのターゲット・メディア、『わたし』のため
のパーソナル・メディアという3極化の時代になって」くるという
のが著者の見方です。

こうした従来のメディアの変容に加え、ウェブやフリーマガジンが
登場してきたことで、各メディアの生き残りをかけた戦いはさらに
熾烈を極めるわけですが、本書では、今後生き残るためのポイント
についても、説得力ある指摘がなされています。

本書の優れたところは、戦後1959年から2006年現在までの雑誌メデ
ィアの変遷と主な社会現象について分析し、各雑誌がなぜ売れたの
か、著者独自の視点を加味している点。

若いメディア人やこれからメディア業界に参入しようとする人にと
って、貴重な情報源となるのは間違いないと思います。

また、多くの企業が団塊世代を追っている中、その下の世代とその
ジュニアたちに注目する著者の視点は極めて冷静。

「個」の時代の到来に、どう各メディアが対応していくべきか、じ
つに示唆に富んだ内容です。

出版業界のみなさんは、ぜひ読んでみてください。

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■ 本日の赤ペンチェック
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最も重要なことは、情報が到達する人数ではない。しかるべき人に
情報を伝え、商品を手にしてもらう。その他大勢=大衆に行きわた
らせないことが、顧客を満足させ、企業価値を高める
(著者がジョルジオ・アルマーニから学んだこと)

いまの日本では、マス・メディアのターゲット・メディア化が進ん
でいる。衛星放送をはじめ、ハイビジョン放送やデジタル放送の発
展がいい例であり、また、従来の地上波放送でも積極的にターゲッ
トを絞り込んだ番組づくりをしている

「個人(わたし)」→「異化」→「力のある個人」側の人たちは、
ライフスタイルの提案だけではもう満足しない。「画一的life-
styleからの脱却」を求めて、自分の力で自分自身のライフスタイル
を創造しようとする

まだだれにも知られていない真実を暴くこと、まだ明るみに出てい
ない気になる「ことがら」を表面化させること。ここに、雑誌は活
路を見出した

『R25』はわざわざ、いわば生っ粋のテレビ大好き人間をターゲ
ットにした。あえて、もともと雑誌好きではない世代を選んだのである

メディアは「みんな」のためのマス・メディア、「わたしたち」の
ためのターゲット・メディア、「わたし」のためのパーソナル・メ
ディアという3極化の時代になってきた

雑誌というメディアが発展するカギを握るのは、団塊の世代ではない

歴史は繰り返すというのは、リーダーシップ・ターゲットの層にも
当てはまる。親が雑誌好きなら子も雑誌好き

美・若さ・文化を基盤に生きてきた”女性”に焦点を当てていくの
が、成功の秘けつだろう

社会に出て働く男性の柱はたった1本、”仕事”に尽きる

男性の生き方には、”旬”もなければ”季節感”もない

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『ターゲット・メディア主義』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4883351513
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■目次■

第1章 雑誌はターゲット・メディアのトップランナー
第2章 報道0円・情報0円の時代に起きた、雑誌をめぐるバトル
第3章 雑誌創刊のカギをにぎるリーダーシップ・ターゲット
第4章 連綿と受け継がれてきたDNAで見る、主要出版社の雑誌変遷
第5章 雑誌マップで見わたす、男性誌と女性誌の根本的な違い
第6章 雑誌の歴史上、知っておきたい流れと動き
第7章 ティーン誌から始まった、雑誌の構造改革
第8章 改革はサラリーマン社会の裏側で起こっている

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