http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4534040245
本日の一冊は、毒舌で知られるジャーナリストの日垣隆さんが、2001年から5年間、「エコノミスト」に連載した「敢闘言」をまとめて書籍化したものです。
個性的な著者だけに、好き嫌いはあると思いますが、メディアの体質に関する批判や、政治・社会制度に対する批判が、実名入りで書かれており、じつに痛快な一冊です。
借金漬けの現代人、失業者を増やす構造改革、情報提供者に対し、横柄な対応をするテレビ局、不倫を進める著者など、現代の日本社会の病巣にズバリ、メスを入れています。
社会全体が倫理観を失いつつある今日にあって、自分の生き方、考え方を問い直す、よいきっかけとなりそうな本です。
ぜひ読んでみてください。
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■ 本日の赤ペンチェック
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バブルに躍らされているだけなのに自分の力を過大評価し、他者の痛みが理解できず敗者に平気で鞭打つ人々より、失業率が高まり、おのれもいつ人員整理にあうかわからない、という危機意識のもとで、周囲に恵まれて幸運を手にしている現状に感謝する者のほうが、成熟した大人の態度だと私は思う
書くという行為は、自己を相対化し、他者の目で見るということである。究極的には、おのれを知る終わりなき仮説の旅だと思う
感動や夢の本質は、何かの壁を乗り越えること。つまり否定である
そもそも、意見を述べるという行為は、そのコアに何かの否定がなければ意味がない。全面的な肯定、あるいは異見でない意見など、それらはただの提灯持ち、時間の無駄である
ここで「仕事ができる」の定義は、私見によれば何より、初動時に仕事の終着イメージが完璧にできる人のことだ
戦略的思考の基本は、何と言っても最悪の事態に備えておく、に尽きる
「一人でやっても無力」と先回りして言うほど無力な敗北主義はない
「やりがいのある仕事」とは何か。やりがいとは、代替性の反対語なのだと思う
私見によれば専門家とは、自分だけが総てを知っているという態度で素人を恫喝する者たちのことではなく、良質なる多くの疑問を抱き続ける人々のことである
アカデミズムは論証の方法が優れているものの、現実問題との格闘から逃避しがちであり、生産性が低い。ジャーナリズムは時事性に優れているけれども、「そこにないもの」を捉える力が欠損しがちであり、仮説を立て論証する経験知が総体として弱い。だからこそこれらを互いに補いあえば、確実にいい仕事ができる
経営能力とは、入りと出の辻褄を合わせる力のことである
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『急がば疑え!』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4534040245
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■目次■
第1章 不安 2001年
第2章 迷い 2002年
第3章 暴走 2003年
第4章 堕落 2004年
第5章 怒り 2005年
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