2005年11月28日

『使える 弁証法』

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4478620695

本日の一冊は、シンクタンク・ソフィアバンクの代表であり、未来予測の達人として知られる田坂広志さんが、ヘーゲルの弁証法を用いて洞察を磨く方法、未来を予測する方法を説いた一冊です。

著者によると、「物事の本質を洞察し、未来を予見するために、膨大な情報や知識は必要ない」。

必要なのは、森全体を見ることであり、そのために最も優れた方法が、本書で説く「弁証法」なのだそうです。

本書のなかで著者は、ヘーゲルが説く法則をいくつか挙げ、現在のIT社会を読み解いています。

「螺旋的発展」の法則、「否定の否定による発展」の法則、「対立物の相互浸透による発展」の法則、「矛盾の止揚による発展」の法則…。

原典をひも解くと、いかにもシンプルなこれらの言葉が、いかに重要な意味を持っているか、改めて考えさせられます。

ロジカルシンキングでは得られない、深い洞察を手に入れるために、ぜひ読んでおきたい一冊です。
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■ 本日の赤ペンチェック
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世の中のすべての物事の進歩や発展は、右肩上がりに一直線に進歩・発展していくのではない。あたかも螺旋階段を登るようにして進歩・発展していく。(中略)すなわち、「進歩・発展」と、「復活・復古」が、同時に起こる

いま「復活」しつつある、様々な「懐かしいもの」。それは、ただ「懐かしいもの」ではない。それは、「便利になった懐かしいもの」なのです。

「未来進化」と「原点回帰」は、同時に起こる。(中略)社会や市場や企業が進化していくとき、その未来に向けての進化の一方で、社会や市場や企業の隅々において、様々な「懐かしいもの」が復活してくる

◆「螺旋的発展の法則」を本質の洞察や未来の予見に使う方法
1.何が「復活」してくるかを、読む
2.「何が消えていったのか」を、見る
3.「なぜ消えていったのか」を、考える
4.どうすれば「復活」できるかを、考える

「存在するものは、合理的である」(ヘーゲル)
この世の中に存在したもので、まったく「意味」が無いにもかかわらず、存在しているものはないのです。ただ、時代が変わり、社会が変わったことによって、その「意味」の大きさが変わり、相対的な「重要度」が低くなったため、社会の表面から姿を消したにすぎない

物事は、否定の否定により発展する

これからの「ドッグ・イヤー」の時代には、世の中の変化が激しく、主戦場の移行が極めて速いため、戦略思考においては、「次なる主戦場」を考えなければならない

物事は、対立物の相互浸透により発展する

物事は、矛盾の止揚により発展する

企業が抱える「矛盾」を機械的な「割り切り」によって解消してしまうと、「矛盾」とともに、「生命力」や「原動力」も消えてしまい、進歩や発展が止まってしまう

「器の大きな人物」
それは、心の中に、壮大な「矛盾」を把持し、その「矛盾」と対峙し、格闘し続けることのできる人物
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『使える 弁証法』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4478620695
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■目次■
序話 なぜ、調査や分析をせずに、未来が見えるのか
第一章 弁証法は、役に立つ
第二章 弁証法を、どう使うか
第三章 弁証法で、身につく力
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