2005年6月13日

『韓国経済を創った男』

http://tinyurl.com/akbqy
本日の一冊は、韓国現代グループの祖、鄭周永の伝説のエピソードを、氏と交流のあった著者がまとめたものです。

著者の朴正雄さんは、鄭会長の国際問題補佐役、通訳として活躍した人物。ゆえに本書では、現代グループの成長過程における、知られざる裏舞台の話などがしばしば登場します。

韓国造船業の現在の繁栄を導いた英断、ダム建設の際の発想の転換、そしてアメリカ自動車産業の圧力に屈せずに独自路線で大成功を収めた自動車ビジネス…。

鄭会長の功績が、現代グループだけでなく、韓国経済全体にも多大な影響を与えた、ということがうかがい知れる、そんな内容です。

避けられないことかもしれませんが、視点が韓国側に寄り過ぎているという点が、読んでいてやや不満なところです。

さらに贅沢を言えば、淡々と事実だけを書くのではなく、鄭会長の人間性や思想についてももっと掘り下げられていれば、より読み応えのある本になったと思います。

とはいえ、現代グループの繁栄の軌跡については、よく書かれた本だと思います。韓国経済の基礎をつくった男の物語に関心のある人は、ぜひ読んでみてください。
————————
■ 本日の赤ペンチェック
————————
鄭周永は、現在の北朝鮮の田舎の山奥にある、貧しい農村で生まれました。学校生活は小学校だけで、飢えと貧困から逃れるために十七歳の時に家を飛び出しました

常識で言えば、まず造船所が造られ、次に船を造るとなる。しかし、鄭周永は常識、前例、教科書的理論の虜になることを常に嫌った

69年9月、現代自動車工場ある地域を120年振りと言われる集中豪雨が襲った(中略)重装備の機械設備は、洪水の泥に埋まった(中略)現代自動車は、辛うじて崖っぷちに留まっているだけで、従業員への賃金は何カ月も払われなかった(中略)新聞紙上で、会社の税金未払いが過去最高額だとも報道された

金を稼ぐには、金のある所に行かねばならない(鄭周永)

これが自分の取るべき正しい方向なのであれば、それに向かって走りながら、ことを学べばよい(鄭周永)

本当の起業家精神は腹のすわった胆力から来るもので、そこから本物の優れた事業家が誕生します。あなたは、そんな胆力を生まれつき備え持った人です(ドラッカー)

ブリーフィングやレセプションはもちろん、食事の接待まですべてともにし、時には直接給仕役まで厭わずに買って出る財閥総帥の姿は世界のどこでもまれなことだろう

金を使う時に自分が計算するのは、ゼロの桁数ではなくて、どれだけ使う価値があるのかということだ(鄭周永)

部下にあえて過酷な要求を出すことで、自分の限界を打ち破るすべを会得させるのが常日頃の彼のやり方だった

常に冷静に事態を見据え、救ってくれた人間には相応の褒賞を与えることを忘れなかった
————————————–
『韓国経済を創った男』
http://tinyurl.com/akbqy
————————————–
■目次■
日本語版へ序文
第一部 生まれながらの挑戦者
第二部 逆境を糧にして
第三部 鄭周永のビジョンと軌跡
あとがき
━━━━━━━━━━━━━━━
■ご意見、お問い合わせは、
eliesbook@yahoo.co.jp
■マガジン登録、変更、解除
http://eliesbook.co.jp/bbm/
━━━━━━━━━━━━━━━

この書評に関連度が高い書評

NEWS

RSS

お知らせはまだありません。

過去のアーカイブ

カレンダー