2005年6月23日

『経営者になる経営者を育てる』

http://tinyurl.com/aqcco

本日の一冊は、ボストンコンサルティンググループのヴァイス・プレジデント アンド ディレクターの菅野寛さんが、実践的なリーダーシップに必要なスキルセットを明確に示した、注目の一冊です。

著者は本書の執筆のために、出井伸之、稲盛和夫、金川千尋、酒井秀樹、鈴木敏文、高原慶一朗、柳井正といったそうそうたる面々にインタビューおよびディスカッションを申し込んでおり、本書にはこれらの優秀な経営者たちの生の声が散りばめられています。

7人の経営者は、それぞれ、創業社長として、一代で大企業を創り上げた人、さえない企業を超優良企業に脱皮させた人、大企業のなかで見事リーダーとして成長した人など、違った経歴を持っており、リーダーシップの研究には最適です。

本書では、この7人の経営者のコメントに加え、著者がこれまでにコンサルティング活動で関わってきた経営者の考えなども盛り込まれています。

これらの情報ソースから導き出された経営者のスキルセットは「科学系スキル」と「アート系スキル」に分けられるのですが、本書が主題とするのは、「実行」するための「アート系スキル」。

「強烈な意志」「勇気」「インサイト」「しつこさ」「ソフトな統率力」といった5項目について、それぞれ具体的にどういうことなのか、何を身につけ、何をなすべきなのかが語られています。

土井が普段から主張している「フレームワークの罠」などについても言及されており、まさに実践を主眼に置いた書といっていいでしょう。

経営者の心構えの書としても、読み応えのある一冊です。
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■ 本日の赤ペンチェック
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◆経営者に求められるアート系スキル
1.強烈な意志 2.勇気 3.インサイト 4.しつこさ 5.ソフトな統率力

◆継続的に利益を生み出すために必要なこと
1.差別化されたバリューの創造 2.ビジネスモデルの確立

「経営者の候補を見る時は、実績を見る。経営者の本当の仕事は結果です。一〇〇のアイデアより、一つの実績を上げているかどうか」(金川千尋 信越化学工業社長)

「事を成し遂げるのは人の”才”ではなく”意”である。才の不足は意で補えるが、意の不足は才では補えない」(高原慶一朗 ユニ・チャーム会長)

・「経営とは、”社会・業界の矛盾の解決”」(柳井正 ファーストリテイリング会長)

◆経営者に必要な勇気
1.トレードオフを理解したうえで、どちらかを捨てる勇気
2.不完全な情報化でも必要なタイミングで決断する勇気
3.やめる勇気、変える勇気
4.必要ならば情を捨てて人を切る勇気

わけがわからなくなったら、一歩引いて本質を見るクセをつける

アイデアが成功に結びつくかどうかは、「考えるしつこさ」によって最初のアイデアをどこまで進化させるかによる

「いい頭、するどい頭を持とうと思うな。強く、粘り強い頭を持て」(高原慶一朗 ユニ・チャーム会長)

◆「ソフトな統率力」の要素
1.夢を掲げる能力 2.夢を「共有」する能力 3.経営者の人間的魅力

◆夢を共有するためのポイント
1.回数 2.チャネル 3.スタイル

◆経営者を疑似体験する方法
1.徒弟制度によりメンターから直接学ぶ
2.先人/故人の体験を聞いたり、読んだりして追体験する
3.ケーススタディやアクション・ラーニングを行う
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『経営者になる経営者を育てる』
http://tinyurl.com/aqcco
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■目次■
1章 経営者の時代
2章 経営者に必要なスキルセット
3章 経営者のアート系スキル1:強烈な意志
4章 経営者のアート系スキル2:勇気
5章 経営者のアート系スキル3:インサイト
6章 経営者のアート系スキル4:しつこさ
7章 経営者のアート系スキル5:ソフトな統率力
8章 習得プロセスを構築し、習慣化する
9章 体験を通じて、習得する
10章 スキルセットを使い分ける
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