2005年6月26日

『東欧チャンス』

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本日の一冊は、大前研一さんによる、久々の新刊。しかもテーマは何と東欧です。

著者は、かつてマッキンゼー時代に、東欧が市場経済化する際の全体戦略の策定に関わっていたらしく、本書ではその知識と、2004年に著者が行ったハンガリー、チェコ、ポーランドの視察旅行の成果が盛り込まれています。

なぜ東欧か、という点に関しては、序章で若干説明がありますが、EU域内で生産した場合、域外で生産した場合にかかる14%の輸入関税を免れること、そして教育水準の高いホワイトカラーの賃金が中国などと比べても割安であるということが理由のようです。

旧東欧諸国を、バルト3国、中欧、南東欧の3つに分けて論じていますが、著者がもっとも注目しているのは、このうち外国投資が殺到しているポーランド、チェコ、スロバキア、ハンガリーなどの中欧諸国。

本書では、これら中欧諸国を中心に、旧東欧諸国の現在の市場規模や社会情勢、ビジネスチャンス、日本企業の進出状況を明らかにし、著者独自の見解を盛り込んでいます。

また、実際に投資を考えた場合の窓口となる機関についてもコメントがあるため、実用面での価値もあると思います。

次なる投資先・生産拠点を考える上で参考にしたい貴重な一冊です。
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■ 本日の赤ペンチェック
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南東欧で注目すべきはルーマニアとブルガリア

外国からの直接投資額の累計は、チェコ、ハンガリー、スロバキア、ポーランドの中欧4か国で、新規加盟国全体の約85%(中略)

中・東欧諸国の経済水準を国民ひとりあたりGDPで見ると、1万ドルから5000ドル程度。先進国の下位から、メキシコなど中進国の水準の範囲にある

チェコは、1918年にチェコスロバキアとして独立したとき、オーストリア・ハンガリー帝国の工業資産の4分の3を継承し、世界有数の工業国としてスタートした歴史を持っている(中略)現在の産業の特色としても、チェコは自動車が圧倒的に強い

スロバキアも農業から自動車にシフト(中略)失業率が高く賃金が安いので逆に外国からの直接投資が活発化し、02年以降は年4%以上の高い経済成長率を達成

ハンガリーは80年代から外国資本に対して開放的な政策(中略)現在まで13名のノーベル賞受賞者を出しており、これは人口比世界一だ。数学、科学、物理学を中心に基礎研究の蓄積があり、これらの分野の研究で多くの優秀な人材を輩出(中略)ハンガリーをR&D拠点として活用するケースも目立っている(中略)政府もR&D分野での投資に対する補助金制度を整備し、誘致に積極的

トヨタの動きも要注目だろう。同社は東・中欧の部品メーカーからの調達率を、02年の6%から06年には17%に拡大する方針

チェコには優秀な投資誘致機関がある

ポーランドの豚肉は競争力が高い(中略)食品分野でポーランドに進出している日本企業は現在のところ、味の素だけ
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『東欧チャンス』
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■目次■
序章 中国の反日運動の真実と中・東欧
第1章 なぜいま中・東欧が注目されるのか
第2章 旧オーストリア・ハンガリー帝国活用法
第3章 自動車に強いチェコの工業力
第4章 ポーランドの地政学的活用法
第5章 中・東欧のチャンスをつかめ!
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