2005年6月14日

『マーケティング実践講座』

http://tinyurl.com/ccb2v
本日の一冊は、べイン・アンド・カンパニーのパートナーである須藤実和さんが、マーケティングの基礎となる知識や考え方を、具体的なケースを紹介しながら解説したテキストです。

iPod、DAKARA、オデッセイ、メリット、ルイ・ヴィトンといった事例の解説も魅力的ですが、何といっても魅力的なのは、そのわかりやすさ。

大前研一さんもオビで絶賛していますが、こんなにわかりやすくて実践的なマーケティングテキストは、土井の経験上、これまでにはほとんどなかったと思います。

通常のテキストでは、グループインタビューではこれこれのポイントに気をつけるべき、で終わりそうなのを、本書では、具体的にどういったことに気をつけてどう実践すればよいか、その理由は…、といったように、深く掘り下げて論じています。

これは、著者がマーケティングについて深い理解があり、かつ実践していなければなかなか書けないことです。

ほかにも、クラスター分析やコンジョイント分析などの分析手法についても論じられており、理解を深めるための演習までついています。

近年まれに見る良質なマーケティングテキストです。マーケティングを勉強したいすべての人におすすめの一冊です。
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■ 本日の赤ペンチェック
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(マーケティングでは)売上を上げると同時に利益を上げていく、そのための効果的な仕組みをどうつくっていくかを考えることが重要

◆iPodの仕掛け
・女性誌編集者80人にiPodを貸し出し、その製品特性を実感してもらった
・ファッションストアのショーウィンドウに、洋服や靴とコーディネートしてiPodをディスプレイしてもらった
・銀座の直営店アップルストアでブランドの世界観を伝え、iPodファンを増やしていった

◆マーケティング活動の3つの柱
1.顧客中心主義 常に顧客の立場に立ってものを考える
2.長期的視点 顧客の満足を継続的に高められるインフラ作り
3.一気通貫 企業のメンバー全員が顧客を見て仕事をする

◆マーケティング活動の5つのステップ
1.環境分析
2.ターゲットの特定
3.マーケティングミックスの策定
4.アクションプランづくり
5.アクションプランの実行

仮説のない調査からは何もわからない
仮説はあくまで「仮においた考え方」であり、調査結果いかんで柔軟に軌道修正する、という姿勢も重要

ある会社の強みを知るために一番大事なことは、なんといってもその会社の儲けの仕組みがどうなっているか、を知ること

◆市場を切り分ける軸 ※昨今では心理的変数が相対的に重要
1.地理的変数 居住地域、都市化進行度、気候など
2.人口動態変数 年齢、性別、家族構成、所得、職業など
3.心理的変数 社会的地位、ライフスタイル、性格など
4.行動変数 過去の購買状況、使用頻度など

◆ルイ・ヴィトン、スターバックスの共通点
1.ストーリー性がある(例:ヴィトン=最古の鞄メーカー)
2.実質価値の大切さ(=こだわり)
3.顧客を引きつけるようなオリジナリティ
4.独自の世界観をホスピタリティの中で提供している
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『マーケティング実践講座』
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■目次■
PART1 マーケティングとは何か
PART3 マーケティング調査分析手法「多変量解析の実際」
PART4 これからのマーケティング戦略
PART5 演習
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