本日の一冊は、マーケティング戦略の専門家、イドリス・ムーティが、世界のトップブランドのケーススタディをもとに、ブランディングの要諦や、マーケターに必要な心構えを説いたものです。
著者によると、ブランドとは「製品を通して人々の主観的な経験に影響を与える目には見えない何かであり、いわば製品を取り巻く個人の記憶や文化的な連想」のこと。
「製品は商人によって売られるが、ブランドは顧客によって買われるもの」という言葉からもわかるように、ブランドの価値を決めるのは顧客ですが、一方で、ブランドは主体性を持たなければならない、というメッセージも発しています。
途中、「8カ月の時間と膨大なエネルギーをブランド戦略に費やして、変わったのはロゴとタグラインだけだった」という笑えない失敗例も紹介しながら、これまでのブランディングに欠けていた視点や、これから求められる考え方を示しています。
とくに興味深かったのは、「何かを象徴せよ、さもなければ、何をやっても失敗する!」という考え方や、「何に対して消費者は最も関心を抱いており、その結果として、どのような心理状態になるかについての、掘り下げた理解が必要」という指摘です。
また、「企業は、物語や神話をベースにして成功するようになるであろう」という話も、これからの企業のマーケティングを考える上で、重要な示唆を含んでいます。
斬新なレイアウトが目を引く本ですが、中身も読み応えがあります。
マーケターや広告・PR担当者必読の一冊です。
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■ 本日のワンポイント赤ペンチェック
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(ブランドは)製品を通して人々の主観的な経験に影響を与える目には見えない何かであり、いわば製品を取り巻く個人の記憶や文化的な連想
製品は商人によって売られるが、ブランドは顧客によって買われる
企業にとって最も価値のある資産は、顧客との関係性なのである
何かを象徴せよ、さもなければ、何をやっても失敗する!
何に対して消費者は最も関心を抱いており、その結果として、どのような心理状態になるかについての、掘り下げた理解が必要
社会は、自動化することが困難な人間の能力、すなわち、情動により価値を置くようになってきた
企業は、物語や神話をベースにして成功するようになるであろう
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『60分であなたもブランド戦略家』
http://tinyurl.com/9cg74
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■目次■
4 はじめに
7 ブランドのすべて
31 ブランディングの現状
99 ブランド・マネジメントvs.ブランド・リーダーシップ
105 ブランド・アーキテクチュア
111 戦略的ブランディングのプロセス
143 ラグジュアリー・ブランドのマーケティング
169 メタフィジカル・ブランドのマーケティング
177 ブランドの評価
185 ブランド監査
194 警告
197 訳者のことば
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