2005年4月21日

『日本型「成果主義」の可能性』

http://tinyurl.com/creet

本日の一冊は、大ベストセラーとなった『内側から見た富士通』の著者、城繁幸さんによる注目の新刊です。

※参考:『内側から見た富士通』
http://tinyurl.com/bv8zs

年功序列と成果主義の違い、成果主義の現状と問題点、そして成果主義の導入方法までが、実例とともに示されています。

著者によると、成果主義を導入している日本企業の9割は、「目標管理制度」を導入しています。この「目標管理制度」が機能するには、

1.目標が数値目標化できる
2.目標のハードルが同じ高さ
3.常に目標が現状にマッチしている
4.評価の際、達成度だけで絶対評価が可能

という4つの大前提が満たされる必要があるのですが、これがなかなか難しいようです。たとえば、1.の「目標が数値目標化できる」であれば、すべての仕事の成果を数値化するのは難しいわけで、無理に数値化を推し進めれば、著者が指摘するように、「部の数値目標に直結しやすい花形業務を担当する人間」と「縁の下の力持ち的人間」という二極化が進んでしまいます。

また、土井もかつて経験したことですが、こういうやり方を取ると、必ず評価を優先して、会社の利益を犠牲にする人間が出てくるのです。つまり、著者が言うように、、目標が「本来やるべき業務とかけはなれた内容」に変わり、数値目標が形骸化するのです。

また、80対20の法則に基づくと、成果を挙げられる人は全体の一部ですから、じつは成果主義でモチベーションが上がるのは全体のごく一部。つまり、成果主義には構造的な問題があることがわかります。

ほかにもいくつか挙げられていますが、前作でも最大の読みどころだった成果主義の問題点は、さすがに読み応えがあります。

こうした問題点をふまえて、著者は、日本型「成果主義」のあり方について、自論を展開します。成果主義導入における経営陣や管理職の責任、現場の管理職への権限委譲、そして、敗者復活の必要性…。

正しい評価制度とは何か、考えさせてくれる、そんな本です。人事はもちろん、経営者、マネジャーなど、評価に携わるすべての方におすすめしたい一冊です。
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■ 本日のワンポイント赤ペンチェック
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企業は従来の「いかに組織を大きくするか」というコンセプトから、「いかに組織を削るか」というコンセプトへ、発想の大転換をせざるをえなくなってしまった

【「目標管理制度」が機能するための前提】
1.目標が数値目標化できる
2.目標のハードルが同じ高さ
3.常に目標が現状にマッチしている
4.評価の際、達成度だけで絶対評価が可能

数値目標は程度の差こそあれ、必ず形骸化する

いったん敗者となってしまった社員に、再挑戦の機会と意欲を提供していくこと、そして社員の総モチベーションを少しでも高めること――それこそ、成果主義における、人事部の目指すべき目標
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『日本型「成果主義」の可能性』
http://tinyurl.com/creet

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■目次■
はじめに
第1章 年功序列制度とは何だったのか
第2章 成果主義の現状
第3章 なぜ成果主義が機能しないのか
第4章 日本型「成果主義」はどうあるべきか
第5章 成果主義がもたらすもの
おわりに
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