本日の一冊は、マクドナルドやケロッグ、ソニー、ペプシ、GM、アメリカン航空、デル、IBMといった世界に名立たる有名企業・ブランドの失敗例を、全部で60集めた、注目の一冊です。
似たようなコンセプトの本としては、失敗製品コレクター、マックマスによる『80,000点に学ぶ新製品開発マーケティング』というのがありましたが、本書は、製品よりもマーケティングの施策の方に重点が置かれています。
※参考:『80,000点に学ぶ新製品開発マーケティング』
http://tinyurl.com/bdl3g
具体的にどんな企業のどんな事例があるのか、さっそくかいつまんで見て行きましょう。
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■ 本日の赤ペンチェック
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◆マクドナルドの「大人向けバーガー」アーチ・デラックス
マクドナルドに、洗練された商品を買いに行く人などいない。マクドナルドに行くのは単に便利だからである
◆ケロッグのシリアル・メイト
・「どこでも食べられる商品」と謳いながらも、もう一方では冷蔵庫で保管が必要とも言っていた
・冷たくするために冷蔵コーナーに陳列したが、消費者はシリアル・メイトはシリアル売り場にあると思っていた
・牛乳と一緒にすることによって、価格が高い印象を与えてしまった
◆RJレイノルズ社の「煙の出ないタバコ」
本当の問題はスモーカーたちが煙の出ないタバコを楽しめなかったことであり、同様にノン・スモーカーたちもこのタバコを歓迎したわけではなかったことだ。はっきり言えば、この商品には市場がなかった
◆ハーレーダビッドソンの香水
ブランドのバリューが「力強く、男性的で、無骨であること」ならば、決して香水やワインクーラーを売ってはいけない
◆ハインツのオール・ナチュラル・クリーニング・ビネガー
重要なのは、顧客がわかっていることに集中することだ。食品ブランドであれば、食べられない商品を売っても売れない
◆ヴァージン・コーラ
問題点の一つは流通網だった。コカ・コーラとペプシは、英国の約半数のスーパーでヴァージンが十分な陳列スペースをとれないように妨害した。コカ・コーラは、広告プロモーション予算を一気に倍増させた
◆CBSのフェンダー―熱狂を呼んだギターブランドの失敗
・CBSが直面した大問題の一つは、なぜフェンダーがそれほどまでに特別なのか、ということをCBSがほとんど何も理解していなかったということだった
・フェンダーのブランド価値を確立させた品質や職人技をCBSは軽視した
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ニューコークや、エドセルなど、マーケティングを学んだ人なら誰もが知っている退屈な例も出てきますが、企業と消費者の認識のズレ、流通上の致命的なミスなど、じつにさまざまな視点に気づかせてくれる本です。ここに書かれていることは、消費者が感情でモノを買う時代、差別化の時代には、とくに重要なことではないでしょうか。
というわけで、本日の一冊は、
『あのブランドの失敗に学べ!』
http://tinyurl.com/awylw
です。ちなみに、予想通り、『80,000点に学ぶ新製品開発マーケティング』のマックマス氏はこの本のなかでも紹介されていました。すべての本はつながっている、といういい例ですね。
※参考:『80,000点に学ぶ新製品開発マーケティング』
http://tinyurl.com/bdl3g
■目次■
第1章 なぜ、ブランドは失敗するのか
第2章 燦然と輝く大失敗
第3章 アイデア倒れによる失敗
第4章 ブランド拡張の失敗
第5章 広報活動の失敗
第6章 異文化の壁による失敗
第7章 人的な失敗
第8章 ブランド再構築の失敗
第9章 ドットコム・ブランドの失敗
第10章 疲弊したブランド
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