2005年3月31日

『スモールワールド・ネットワーク』

http://tinyurl.com/5vdy5

本日の一冊は、「六次の隔たり」として知られる、ネットワークの法則と、その周辺の議論を、わかりやすく紹介した一冊です。

ウイルスの感染やヒット商品の爆発的な広がり方、人的ネットワークの構築など、さまざまな現象を説明するための新理論「スモールワールド現象」について、その研究過程も含めて詳しく解説しています。

マーケティングのヒントとも、人脈作りのヒントとも読める本ですが、どう読むかは読者次第です。間違いないのは、知らない人は知っておいた方がいい、ということです。

さっそく内容のポイントを見て行きましょう。
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■ 本日の赤ペンチェック
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問題を難しくしているもの、そして、複雑なシステムを複雑にしているものは何かというと、全体部分の単純な総和ではないということだ。むしろ、それらの部分自体は極めて単純な要素でも、お互いに作用し合っていて、その相互作用によってはこちらが当惑するような振舞いをすることがある

結合の時代においては、何がどのように起こるかは、ネットワークに左右される

世界から見れば知人の輪などほんのひとにぎりの集団にすぎないのに、驚くほどしょっちゅう共通の知り合いに出くわすのは、社会ネットワークが関わっているというよりも、自分を驚かせるような事実に注意を払いがち(そして、そんな事実が起こる頻度を過大視しがち)な傾向があるせいなのだ

ネットワークは「クラスタリング」と呼ばれる様相を示す。(中略)クラスタリングは関係の重複を育む(中略)ミルグラムの実験が示した社会ネットワークのパラドックスは、一方では、世界が高密度のクラスターを形成していて、わたしの友人の多くが相互に友人なのだが、もう一方では、平均すると、ほんの何ステップかでどんな人にでも到達することができるということにある

就職活動では、会社にもぐり込ませてくれる友人を持つことだけでなく、それがどんな種類の友人なのかということが、たいへん重要である。しかし皮肉にも、それはあなたにもっともよくしてくれる親しい友人ではない(中略)役立つのは、思いも寄らない知人なのだ

システムが臨界状態になると、中心は必要ない。なぜなら、なんらかの中心がなくても、すべての位置がほかのすべての位置に影響を与えることができるからだ

われわれは、ある面では周囲の社会的構造の中で占める位置によって、また別の面では、内的な選好や性格特性によって行動する

世界はバラバシとアルバートが考えたようなシンプルなモデルよりももっと複雑である

ハブ・ネットワークをランダムに探索することにより、ネットワーク全体に過度の負担をかけずに、比較的短時間で、ほとんどのファイルが見つかる

つながり合ったシステムでは、因果は複雑にそしてしばしば誤解を招くかたちで絡み合っている
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ほかにも、ピア・ツー・ピアや伝染病など、さまざまなケースについて考察し、ネットワークのしくみがこれまでに述べられてきたほど単純ではないことを示しています。400ページ近い、厚い本ではありますが、翻訳も読みやすく、割とすんなり読めてしまいます。

というわけで、本日の一冊は、

『スモールワールド・ネットワーク』
http://tinyurl.com/5vdy5

です。「偶然の出会い」の秘密を知りたい方、人脈を広げるコツを知りたい方、商品・サービスを普及させるための考え方を知りたい方には、おすすめの一冊です。

■目次■
序文
第1章 結合の時代
第2章 「新しい」科学の起源
第3章 スモールワールド現象
第4章 スモールワールドを超えて
第5章 ネットワークの探索
第6章 伝染病と不具合
第7章 意思決定と妄想と群集の狂気
第8章 閾値とカスケードと予測可能性
第9章 イノベーションと適応と回復
第10章 始まりの終わり
訳者あとがき
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