本日の一冊は、名著『ザ・ゴール』の著者、エリヤフ・ゴールドラット博士が、スループットを生むための意思決定プロセスについて述べた一冊です。
※参考:『ザ・ゴール』
http://tinyurl.com/4u3dq
タイトルで謳われている「コスト」というのは、一時代前に作られたコスト会計とそれに付随する経営上の考え方を指していて、いかにそれが現代の経営にそぐわないか、というのを順を追って、説明しています。
アメリカのビジネススクールよろしく、講義は読者に考えさせるスタイルで進められているため、いい思考の訓練になります。
…とは言え、ここはBBMワールド。日本人らしく、さっそく要点チェック行ってみましょう。
—————————
■ 本日の赤ペンチェック
—————————
(JIT(ジャストインタイム)、TOC、TQMは)新しい総合的な経営哲学である
◆組織の礎を明らかにするためのポイント
1.組織の”ゴール” 2.評価尺度
◆どんな評価尺度が必要か理解するための3つの質問
1.我が社は、どれだけのお金をつくり出しているのか
2.我が社では、どれだけのお金が拘束されているのか
3.我が社は、どれだけの経費を使っているのか
◆3つの評価尺度
1.スループット
2.在庫
3.業務費用
コスト会計は、考案された当時、産業史上、最も強力なソリューションの一つと見なされていました(中略)しかし、技術が進歩したために、肉体労働と頭脳労働に対するニーズの比率も変化してきました。100年前には、わずかわずか0.1程度だった間接費係数(製造間接費÷直接労務費)が、いまではほとんどの会社で5から8へと大きく増えているのです
スループットは、顧客や市場といった私たちのコントロールの及ばない外部要因に依存しています。それに比べ、業務費用はより目につきやすく、コントロールもしやすいのです。ですから、どうしてもスループットより業務費用の重要度を高くしたくなる
コスト会計のもとでは、将来のスループットを増大するような活動は、すべてこの無形というカテゴリーに分けられてしまう
鎖の強度は、強度のいちばん低い輪(制約条件)によって決まる
私たちが相手にしているのは、従属変数で構成された環境です。そのような環境で求められるのは集中です。
◆スループットワールドの意思決定プロセス
ステップ1.システムの制約条件を見つける
ステップ2.制約条件を徹底活用する
ステップ3.制約条件以外のすべてを制約条件に従属させる
ステップ4.制約条件の能力を高める
ステップ5.制約条件が解消されたら、最初のステップに戻る
(しかし、惰性が次の制約条件にならないように注意する)
制約条件には、自らを保護する予備キャパシティはありません。ですから、制約条件の前に在庫を築くことと、制約条件に作業を供給するリソースに予備キャパシティを持たせることで、制約条件をマーフィーから保護しなければいけない
—————————
内容的には、現在の経営現場で起こっている本質的な変化に気づかせてくれる、良書だと思います。
ただ、非常にわかりやすく書かれているとはいえ、『ザ・ゴール』をはじめとするTOC関連の本を読んでからでないと、意味を理解するのはちょっと難しいかもしれません。
というわけで、本日の一冊は、
『ゴールドラット博士のコストに縛られるな! 』
http://tinyurl.com/4czyo
です。『ザ・ゴール』シリーズの次に読んで、TOCに対する理解を深めるための一冊と言えるでしょう。
■目次■
PART I 企業のゴールと三つの尺度
PART II コストワールドの落とし穴
PARTIII スループットワールドの意思決定プロセス
PART IV インフォメーション・システムを構築する
━━━━━━━━━━━━━━━━
■ご意見、お問い合わせは、
→ eliesbook@yahoo.co.jp
■マガジン登録、変更、解除
→ http://eliesbook.co.jp/bbm/
━━━━━━━━━━━━━━━━
この書評に関連度が高い書評
お知らせはまだありません。