2005年3月30日

『アートスタイル市場』

http://tinyurl.com/5a46u

本日の一冊は、ずーっとアマゾンで買えず、ご紹介したくてもできなかった本です。

文化的な価値が市場的価値を決める「文化経済市場の検証」コンセプトブック、とのことですが、新しい時代のマーケティングのヒントとして、貴重なヒントを与えてくれる一冊だと思います。

著者は、コンセプト・プロデュースや経営コンサルティングなどで活躍中のようですが、もともとはデザイン畑の方です。この本にも、デザインに携わる方ならではの感性が生きています。

さっそく、どんな内容が盛り込まれているのか、チェックです。
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■ 本日の赤ペンチェック
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意外性の落差が勢いを生む。そういうことである。心理×情報=コト。言い換えればサプライズがないものはダメ、コトに転換できないものはダメ、シナジーがかからないコトはダメ

「違い」こそ最大の消費喚起力(中略)「違い」を求めて「同じ」に集まる同好の士型、テーマクラブ活動型の消費がますます台頭してくる

すべてをドラマ消費に変えよ

今の時代を一言でいえば「ジャーナリスティックな時代」である。情報は取材され、編集され、報道される。メディアによるメディアの取材さえある。情報は臨界点を超えると、一気に頂点に向かう。(中略)上昇気流に乗る、その「時」をつかまえる。それが「ジャーナル・タイミング」である。その「ジャーナル・タイミング」をプロデュースすることが、ビジネス能力だともいえる時代である

スローモードの時代には故郷回帰が起こる。(中略)東京の銀座では、現地の味つけや素材にこだわった郷土料理店が急増(中略)京都では大阪や神戸発のファッションが人気を集めたのに続き、「京都系」ブランドが20代後半~30代の男女の注目を集めている

人形や人物彫刻といった、人間の形をした表現「ひとがた」が、近頃目をひく(中略)ぎりぎりの自己相似形としての「人形鏡」願望。それはクローンにさえつながっている。ともあれ、顧客の心をつかむ手段として「ヒトガタ」を提示しよう

一点集中。焦点を一点に合わせよう。(中略)「ワン」に顧客反応が出た時、そこから情報のシナジーが起き、情報の爆発が始まる。総合、総量からは何も起きない時代なのだ

デザイナーがマーケットを開拓する時代(中略)企業戦略のかなめが「デザイン」になってきた。センス、美学、感受性の競争になった

「半完成品」が、これからの製品の主流になる。わざと完成させない、あえて途中下車。あとはお客様に作っていただくか、注文に応じて完成させる。物完成型市場から、「ハーフメイド」市場へ。この市場転換が、深く静かに進行している

選択の最後の判定軸は「ドクターズ・モデル」になるということである。その道、その世界で研究し、実践し、解決方法を見いだした究極のプロ=「ドクター」のノウハウを、あらゆるカテゴリーに求める時代
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ほかにもたくさんのキーワード、ヒント、そして刺激的な事例が入った、大変興味深い本です。出版社が繊研新聞社ということで、おそらくファッション業界にしか知られていない本だと思いますが、他の業界にも当てはまる、さまざまなヒントが盛り込まれています。

というわけで、本日の一冊は、

『アートスタイル市場』
http://tinyurl.com/5a46u

です。マーケターなら、ぜひ読んでおきたい一冊です。

■目次■
まえがき
第1章 文化の衝撃
第2章 創造の火花
第3章 差異の価値
第4章 個人発美学
第5章 美の提案力
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