本日の一冊は、PHP研究所の代表取締役社長、江口克彦さんによる最新刊です。
江口さんはあの松下幸之助氏に仕え、晩年の22年間、薫陶を受けた人物。土井も一度、インタビューでお会いしたことがあります。江口さんから教えていただいた、「成功するためには、成功するまで続けること」という教えは、おそらく一生忘れられないでしょう。
今回の本は、その江口さんが、松下幸之助から学んだ経営の普遍的理念をわかりやすくまとめた一冊です。
具体的にどんな教えが書かれているのか。さっそく見てみましょう。
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本日の赤ペンチェック ※本文より抜粋
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「経営を進めるときは、普遍性、国民性、時代性の三つを考慮しながら進めることが大切やね」と松下幸之助はよく語っていた
こんなことはできるはずがないと思うことに挑戦し、それを乗り越えるときにこそ、新しい工夫や技術、イノベーションが生まれてくる
経営に限らず、すべては人間のため、人間というものの発展や幸福のために行なうものである。ならば、人間とは何か、人間の本質とは何かという哲学、人間観が明確でなければならない。人間を知らずして、すなわち正しき人間観を持たずして、なぜ経営が進められるだろうか
松下幸之助が”成功”した理由として、あまり言われない重要な点は「感動」であった。部下を感動させた。周囲を感動させた。お客様を感動させた。二十二年間そばに仕えた私にとっては、これこそが松下が成功した最も大切な理由であったとさえ思える
即断即決ができないということは、仕事に対するカンがないということである。さらには、仕事に対する、自分の哲学ができあがっていないということである
燃えるような熱意があれば、たとえ困難に陥っても、必ずやそれを乗りこえる知恵が生まれてくる。わからないことがあっても、熱意があるならば人に素直に教えを乞うという態度が生まれてくる
経営者にとって大事なことは、己の面子よりも経営の発展である
「長」のつく人間の責任は三つある。一つ目は自分のグループの仕事をやり遂げる責任、二つ目は自分の下にいる人材を育てる責任、そして三つ目は新しい仕事を創造していく責任である
経営者は、「能力があるから責任ある立場につける」という考え方よりも「責任ある立場が人を育てる」という考え方に立つべき
時間のけじめ、お金のけじめ、人間関係のけじめ。この三つのけじめは決して忘れてはならない
根底に本当に考え抜いた自分の理念、哲学があるならば、そして本人が人間的な向上を日々心がけているのならば、いかなる局面であろうと相手に訴え納得させる話し方が自然にできるようになるだろう
将来から現在を考えるのが経営者の発想、現在から将来を考えてはいけない
(改善・改革に際して)今あるものに継ぎ足すな。今あるものをゼロにして、そこからどうするかを考えよ
部下が話しに来たときに大切なことは、その話の内容を評価して良いとか悪いとか言ってはいけない、ということである。そうではなく、部下が責任者のところへ話しに来る、その誠意と行動と勇気をほめるのである
教育というのは、夏の芝生の雑草取りに似ている。取り続けることが教育である
部下を育てるポイント
1.部下にものを尋ねる
2.方針を明確に示す
3.権限を委譲する
4.感動させる
これからは表現力があって行動力のある人間の時代である
持って生まれた人間的能力を、死ぬまでに発揮し尽くすことが人間としての幸せである
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できれば、100項目をひと通り解説するのではなく、項目は少なくても、それぞれに関して、著者あるいは松下幸之助がどうしてそう考えるにいたったか、を詳しく書いてほしかったのですが、経営者の心構えの書としては、なかなか有用だと思います。
というわけで、本日の一冊は、
『経営者の教科書』
http://tinyurl.com/6pfz6
です。道に迷いそうになったときに紐解きたい、そんな一冊です。
目次
1.経営では、「目に見える要因」とともに「目に見えない要因」が大切
2.生産者が「いい物を安くたくさん」という考えで物をつくらなければ、企業の発展はありえない
3.人間観なき経営者は決して一流とは言えない
4.経営者に必要なことは、傲慢に振舞うことではなく、謙虚に振舞うことである
5.経営者に部下を拝む心があれば、会社は必ず発展する
6.世間は正しいと考え、その上で経営判断をするところに経営成功の王道がある
7.すべて百点の仕事でなければ仕事ではない
8.経営は「勝てば官軍」ではなく、勝ち方の美しさが大切
9.経営者が社員を感動させなければ、その会社の発展はありえない
10.商い、経営もまた礼の道に即していなければならない
※その他、全部で100項目あります。今回は割愛させていただきます。
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