本日の一冊は、「朝日新聞」編集委員を経て、現在「週刊金曜日」の編集委員を務める、本多勝一さんによる一冊です。
「ロングセラー『日本語の作文技術』『実戦・日本語の作文技術』から、語順、句読点の打ち方、助詞の使い方など、最低限習得すればいい部分を抽出したビギナー版」とのことで、とくに目新しい内容が書かれているわけではありません。
参考:『日本語の作文技術』
http://tinyurl.com/5tfwl
参考:『実戦・日本語の作文技術』
http://tinyurl.com/3vlmp
ただ、前著のエッセンスをおさらいしたい人や、初めて文章術の本を読む方には、読みやすく、おすすめしたい一冊です。
本気で勉強したければ、文章の実例を見ながら学ぶのが一番ですが、赤ペンチェックでそれは難しいので、ところどころに現れる、書き方の鉄則や、著者の主張だけを抜き出すことにします。
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本日の赤ペンチェック ※本文より抜粋
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芸術には才能を必要とするかもしれませんが、技術なら学習と伝達が可能です。(中略)「わかりやすい文章」も、技術である以上だれにも学習可能なはずです
一切の言葉に変更を加えずに、機械的に位置を変えるだけでわかりやすくするためには、かかる側と受ける側の言葉同士を直結し、入れ子をはずせばよろしい
かかる言葉と受ける言葉があまりに離れすぎると、書いている当人もつい忘れてしまうことがあります
語順の原則
1.節を先にし、句をあとにする
2.かかる言葉は長い順に並べる
3.大きいことほど前へ
4.なじみ具合による配置転換
※日本語に限らず、あらゆる言語のあらゆる単語には、それぞれ独特の親和度(なじみの範囲、接合関係)があるのです。それを無視すると「ヘンな文章」や「ヘンな会話」になってしまう
引用はあくまで原文のまま示さなければなりません。引用部分と自分の文章とは明確にけじめをつけないと、他人の意見や報告をねじまげてしまい、ときにはとんだ迷惑をかけることになる
「“進歩的”ジャーナリスト」とか「このように不正確な“引用”をされると……」と書いたときに“進歩的”や“引用”のところでヒゲカッコ(チョンチョンカッコ)を使いました。ヒゲカッコはこのように「本当はそうではない」ときとか、「いわゆる」つきのときに使われます
句点は字と同じか、それ以上に重要
長いかかる言葉が二つ以上あるとき、その境界にテンをうつ
重要でないテンはうつべきではない
語順が逆順の場合にテンをうつ
テンというものの基本的な意味は、思想の最小単位を示すものだと私は定義したい。マルで切れる文章は、これらの最小単位を組みあわせた最初の「思想のまとまり」です
なぜ逆順にするかというと、筆者がそのものを多少なりと強調して提示したかったからなのだ。そこには「強調」という主観があらわされているのです
自分の文章について私自身反省してみると、無駄なテンがとくに多いとはいえないものの、厳密な意味では不要と思われる例もときどき目につきます。これからはもっと注意して減らしてゆくつもりです
漢字とカナを併用するとわかりやすいのは、視覚としての言葉の「まとまり」が絵画化されるためです
たとえば「いま」とすべきか「今」とすべきかは、その置かれた状況によって異なる。前後に漢字がつづけば「いま」とすべきだし、ひらがなが続けば「今」とすべきです
結論として、わかち書きを目的とするテンは一切うたないことです。その結果どうしてもカナばかり続いて読みにくいところができてしまったらどうするか。まず漢字、次いで傍点やカタカナを考えてみる。それでもダメな場合は、ほんとうにわかち書きをすればよいのです
「が」を逆接以外に使うときは、それがわかりにくい原因とならない場合に限るよう注意して、いいかげんな気分では使わないこと
段落のいいかげんな人は、書こうとしている思想もまたいいかげんで、不正確で、非論理的だとみられても仕方がないでしょう
段落はひとつの思想単位を示しているのです。いいかげんな気分で改行をしないよう心がけましょう
無神経な文章
(1)紋切型
(2)くり返し
(3)自分が笑ってはいけない
(4)体言止の不快さ
(5)ルポルタージュの過去形
※紋切型を平気で使う神経になってしまうと、そのことによる事実の誤りにも気付かなくなります
文章の「リズム」をよくするには、頭の中で朗読しながら書くこと
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いかがでしょうか。実際には、新聞記事や書籍から文例を引っ張ってきて、その是非を論じながら解説しているので、赤ペンチェックだけでは理解が深まらないと思います。本気で勉強したい人は、ぜひ読んで、文例を見てください。
というわけで、本日の一冊は、
『中学生からの作文技術』
http://tinyurl.com/6zc4u
です。ひさびさに、書き方の基本を学ぶことができました。
目次
はじめに 「作文」とはなにか
第一章 かかる言葉と受ける言葉
第二章 かかる言葉の順序
第三章 テンやマルのうちかた
第四章 漢字の使いかた
第五章 助詞の使いかた
第六章 改行を考える
第七章 無神経な文章
第八章 リズムと文体
おわりに
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