2013年4月7日

『アメリカの世界戦略に乗って、日本経済は大復活する!』中原圭介・著 Vol.3183

【これからの経済の行方は?】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4492395857

本日の一冊は、米国住宅バブル崩壊、欧州債務危機を予見したカリスマエコノミスト、中原圭介さんによる一冊。

アベノミクスにより円安が進み、株価も上がっている状況ですが、国内にばかり目を向けていては、今後の日本経済の正しい姿は見えてきません。

そこで本書では、重要なファクターであるアメリカ経済と、成長著しいアジア諸国の今後を論じ、それが日本経済にどう影響を与えるかを予測しています。

なかでも著者が注目するのは、アメリカで起こっている「シェールガス革命」。

シェールガスとは、泥や砂が固まってできる「シェール」と呼ばれる岩層に閉じ込められた天然ガスのことで、最近採掘・回収する技術が確立されたもの。

現在ではアメリカの天然ガス生産の3割近くを占めるまでになり、埋蔵量は現在のアメリカ国内のガス消費量の100年分とのこと。

著者の予測は、この安価なシェールガスが原因で、アメリカが再び「世界の工場」になるというもの。さらに、「アメリカ経済が復活することで世界的なデフレが始まる」とも言っています。

また、TPPに関しても、世界的に富裕層が拡大しており、彼らが先進国で作られた物を欲しがることを踏まえ、<10年単位で見れば、先進国のほうが新興国よりも得られる果実が大きい>と述べています。

この世界的な動きの中で、成長を遂げそうな企業の実名も入っており、こちらも注目したいところです。

それと気になるのは、増税の話。

著者によれば、「景気が悪ければ増税はしないから大丈夫だ」は間違いで、<2013年4-6月期より後のGDPは悪くなっても増税が実施される>見込みが高いとのこと。

今後、日本経済がどうなるのか、われわれの生活がどうなるのか、どんな株を買えばいいのか、ヒントとなる一冊です。

ぜひ読んでみてください。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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たとえ物価を無理矢理に上昇させることができたとしても、企業は従業員の給料を上げることは難しくなっている

大幅な通貨安には大きな落とし穴があります。それは、輸入物価が想定以上に上昇してしまうことです

ドル円相場が1円安くなるごとに、液化天然ガスや原油の輸入コストが2700億円~2800億円ほど増加することを考えると、円安が急激に進むことは一昔前と違って決して喜べるものではありません

近い将来、シェールガスやオイルを海外に輸出するようになれば、貿易赤字が激減する可能性も大いにありえます。貿易赤字の激減とともに経常収支が好転すれば、為替市場では必然的にドルが買われる傾向になり、その反作用として円が売られる

2011年の日本の輸入額・輸出額の内訳を見ると、エネルギーの輸入超過額20.6兆円に次いで、医薬品の輸入が貿易赤字の将来的な第2の主役となる可能性が高まっている

シェールガスが「革命」と言われるほどの理由は、その圧倒的な価格の安さにあります

留意すべきは、シェールガスの量産化ではアメリカが技術的に他国を凌駕していて圧倒的に有利な状況にある中で、シェールガスの生産量がまだ天然ガス全体の生産量の3割近くに達したにすぎないということ

今後、本格的な「ガス社会」が到来すれば、従来のエネルギーよりも割安なシェールガスが普及することで製品の製造コストが下がり、その結果、アメリカの製造業の競争力が増すことは容易に想像できます

石油化学大手ダウ・ケミカルはシェールガスを使い、石油化学製品の基礎原料となる「エチレン」を生産する工場を新たに建設する方針を示していますし、電炉大手ヌーコアもシェールガスを使う「直接還元鉄」の生産を検討し始めています

安価なシェールガスに吸い寄せられるように、アメリカでの工場建設ラッシュが沸き起こっている

シェールガス革命によって中東やロシアの没落が始まる

2013年4-6月期より後のGDPは悪くなっても増税が実施される

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『アメリカの世界戦略に乗って、日本経済は大復活する!』中原圭介・著 東洋経済新報社
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4492395857

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◆目次◆

第1章 アベノミクスによるデフレ脱却は間違っている
第2章 アメリカ経済が先進国の中でいち早く復活する
第3章 アメリカの世界戦略に乗れば、日本経済は間違いなく復活できる
第4章 世界最強の日本企業が経済復活を後押しする

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