本日の一冊は、数多くの著名人やビジネスリーダーを輩出してきた名門、ハーバード・ケネディスクールの概要とその魅力を明らかにした、話題の一冊です。
土井の大学時代のゼミの先生は、ここの出身でしたが、当時からお話を聞いていて、なかなかおもしろそうな学校だなあ、と思った印象があります。
この本には、そのハーバード・ケネディスクールの授業内容や教育方針、そして裏話までが、まとめられています。
いつかは海外留学を、と考えている人にとっては、おもしろい選択肢ですし、そんな気はない、という人にとっても、教授の話を聞いて、各学問の意義やエッセンスを吸収するいい機会になるはずです。
赤ペンチェックに向かない本ではありますが、さっそくポイントを見て行きましょう。
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■ 本日の赤ペンチェック
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ビジネススクールがビジネス界、ロースクールが法曹界、メディカルスクールが医療界の向上を目指してきたように、ケネディスクールはあらゆる分野を包含した社会全体をよりよいものにすることをミッションとしている
※ケネディスクールの卒業生がもらえる学位
MPA=Master in Public Administration
リーダーシップは、ビジネス界だけに要求される能力ではない。パブリックセクターにおいても、リーダーシップに対する要求はますます強まってきている
ケネディスクールの学生は、ハーバード大学の膨大な資産を活用することが可能である。人権や人道的介入に興味があればロースクールで国際法の講義を履修することができるし、NPO組織のマネジメントに興味があればビジネススクールの授業をとることも可能である。さらにケネディスクールはMITやタフツ大学フレッチャー法律外交大学院と単位交換の提携をしているので、両大学の看板コースを履修することもできる
◆ハーバードで教える「交渉術」のポイント
1.最も望ましい結果、交渉を打ち切るポイントを事前に準備
2.パイをどう切り分けるかではなく、パイをどのように大きくするか
3.複数の参加者がいる交渉の場合、同盟関係の構築が最も重要
◆ハイフェッツ教授のリーダーシップ論
1.まず、表面上の問題ではなく真に解決すべき問題は何なのかを考える
2.そのうえで当該争点に対する各利害関係者の立場を理解する
3.立場の違いを埋める努力をする
◆ミッキー・エドワーズ教授の政治家育成講座
・当選するためには、自分が何をやりたいか、何ができるかという ことだけではなく、選挙民のことをよく知らなければならない
・候補者が訴えるべき政策は、「自分が信じること」「選挙民が求めていること」「現職(または他の候補者)が達成できていないこと」
◆ソーシャル・マーケティングとは
マーケティングの理論と技術を用いて、個人、グループ、社会の利益のために、ある行動を自主的に受け入れさせ、変化させ、または、やめさせること
「卒業する君ら全員が、大統領や総理大臣になるわけではない。しかし君らが社会に復帰して、どんな小さな部分でも何らかの仕事を任されたとしたら、その君らが任された世界の小さな部分をよくするよう努力してほしい。一人一人が任された部分が小さなものであっても、一人一人がその小さな部分をよりよく変える努力をすれば、世界全体を変革することができる。幸運を祈る」(ジョセフ・ナイ)
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学院長だったジョセフ・ナイをはじめ、チョムスキー、ポーターなど、アメリカの著名な学者が次々と登場するあたりは、さすがケネディスクール。さまざまな授業のエッセンスをつまみ食いしているうちに、本腰入れて学びたくなる、そんな一冊です。
というわけで、本日の一冊は、
『ハーバード・ケネディスクールでは、何をどう教えているか』
http://tinyurl.com/5h2pu
です。ビジネスという枠を超えて、リーダーとして大成するためのヒントが盛り込まれた一冊です。もちろん留学する人にとっては、有用なガイドブックです。
■目次■
はじめに
GUIDANCE
OUTLINE of COURSES
1.交渉力を育てる
2.リーダーシップ力を育てる
3.マネジメント力を育てる
4.分析力を育てる
5.政策企画力を育てる
あとがき
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