本日の一冊は、プロフェッショナル・コーチとして知られる鈴木義幸さんが、コーチングのエッセンス(部下との対話術)をコンパクトにまとめた一冊です。
メールマガジン「Biz Coach Magazine」で紹介した27の事例を、「すぐに役に立つ具体的なケーススタディ」として掲載し、その後で解説するという構成になっています。非常にわかりやすく、アドバイスが具体的なのが特長です。
では、具体的にどんなアドバイスが載っているのか。いくつかピックアップしてみましょう。
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本日の赤ペンチェック ※本文より抜粋
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自分の発した「言葉」とその言葉に込めたい「意味」を一致させて部下を動かすためには、もはや頭ごなしの命令スタイルでは難しい。一方的な命令スタイルに代わる新たなコミュニケーションスタイルが、いまどきの部下を動かすうえでは必要なのです
上司の質問(悩み)は、おおむね2種類に集約できる
1.ストレスの高まった部下の存在を知る方法
2.ストレスの高まった部下への対応方法
ストレスサイン ※具体的な特徴は本書をご参照ください
・攻撃的な行動に出る
・逃避的な行動に出る
・ライフスタイルに表れる
ストレスサインが見られたときの対応策:無理をさせない
・いま以上負荷をかけない
・残業させない
・他の人のサポートをつける
・気晴らしや休息をとらせる
・必要なら専門家に任せる
人の意識や行動を変化させ、それを維持し、定着させるには、「リマインド」と「モニタリング」が必要
信頼関係が生まれる前に「相手を変えよう!」と性急に変化を求めても、それは抵抗を生むばかりです。なぜなら、「変える」ということは、「今までを否定する」ことにもつながりかねないからです
まずはマネジャーとしての意図を「要望」という形で伝え、それを行動に移していく上で、何ができるのかを質問していくと、部下は話しやすくなります(中略)「どう思う?」と聞くのではなく、「君はどうしたい?」と聞くと、上司側からの「検証」の意味合いがなくなるので、部下も自由に話すことができます
相手に「相談を持ちかける」と、その相手にいつもと違う視点で物事を深くかつ当事者意識を持って考えさせることができます。その結果得られる成果も、あなた1人だけで考える時よりずっと大きいはずです。さらに、相談を持ちかけた相手との信頼関係を深められる良い機会が得られるという利点もあります
一方的に指示され続けると、人はだんだん指示に依存するようになります(中略)部下が指示命令に依存していると見受けられた時には、「答えは部下の中にある」と心で唱えながら、まずは簡単に答えられる質問を投げかけ、相手に自分で考えることを促しましょう
部下が自発的に行動するよう、モチベーションを高めたいと思う時には、部下の行動につながる”スイッチ”を知っていることが重要
上司であるあなたにとって重要なのは、自分の部下がまず会社組織にとって「存在意義がある」「役に立っている」と自覚できるような”環境”をつくってあげること
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個人的には、非常にためになりました。ありがとうございます。決して理論だけに偏らず、実践に使えそうなところがいいですね。
というわけで、本日の一冊は、
『なぜ、だれも私の言うことを聞かないのか?』
http://tinyurl.com/3pa75
です。薄い本で、さらりと読めてしまいます。悩める上司には、ぜひおすすめしたい一冊です。
目次
はじめに
1.部下のストレスをコントロールしてあげよう
2.「成功した」と仮定して、部下にアイデアを出させよう
3.時には自分の上司をコーチングしよう
4.「被害者」意識を捨て「創造者」になろう
5.教えたことを思い出させて、見つめ直させよう
6.部下との間に太い「命綱」をたくさんつくろう
7.部下を「リスペクト」し、信頼関係を築こう
8.「暗黙知」を部下に伝えるナレッジマネジメントを実践しよう
9.「質問」と「要望」を使い分けて、部下の考えを引き出そう
10.部下と一緒に現場を回って、経験を共有しよう
11.エンパワーメント――目標を与えたら、あとは部下に任せてみよう
12.部下と本音で話し合う機会をつくろう
13.企業内コーチを育成しよう
14.目標管理制度をうまく使うには、まず部下の話をたっぷり聞こう
15.ピア・コーチング――同僚同士でコーチングし合ってみよう
16.時には部下に相談してみよう
17.部下に「自分で考える」癖をつけさせよう
18.部下との会話の量をもっと増やそう
19.部下を「正しく」叱ろう
20.部下に「自分はこの会社で役に立っている存在だ」と感じさせよう
21.最近の若い部下とのコミュニケーションの仕方を考えよう
22.コーチングの発想を実際の営業に活かしてみよう
23.会議の運営にコーチングのノウハウを活かそう
24.フィードバック――部下があなたの考えをどう受け取ったか確認しよう
25.「究極の質問」を部下にぶつけてみよう
26.あなたの「正論」を部下が耳に入れるよう、話し方を工夫しよう
27.あなた自身が部下の「コーチ」になってみよう
おわりに
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