2023年11月24日

『おとな六法』岡野武志、アトム法律事務所・著 vol.6364

【法律を面白おかしく。】
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本日ご紹介する一冊は、弁護士が書いた、売れ行き好調の法律雑学本。

一見、大人向けの真面目な本に見えますが実際は、オビに「ゾンビを殺すのは犯罪になりますか?」とあるように、かなり面白おかしく法律を論じた内容です。

昔、マンガやアニメの世界で描かれる現象を科学的に解明した『空想科学読本I』という本がありましたが、本書はあれの法律版ですね。

切り口はおかしく、でも内容は真面目に論じるという、王道のフォーマットで、ケースはアホらしいですが、法律的思考が身につく良い本だと思います。

どのトピックも、基本はおバカな質問に対して、法的視点で回答するというフォーマットで、具体的にはこんなトピックが紹介されています。

・デスノートに名前を書いたら殺人罪ですか?
・バイト辞めたとき最後のバイト代もらえなかったんですけど、いつまで請求できますか?
・転売ヤーは犯罪になりますか?
・人の唐揚げに勝手にレモンをかけたら犯罪ですか?
・1万円を盗むのと、1万円分の物を盗むのでは、どっちの罪が重いですか?

これに対して、ケースバイケースで法的解釈を加えているのですが、これが勉強になる。

また、実務面でも、損額賠償請求のやり方や残業代の計算の仕方などが書かれており、転ばぬ先の杖として重宝しそうです。

楽しく読めてためになる、良い一冊だと思います。

さっそく本文のなかから、気になった部分を赤ペンチェックしてみましょう。

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結論
ウルトラマンが街を壊すのは、無罪。
要点1
街の破壊は、基本的に建造物損壊罪になる。
要点2
しかし、緊急避難にあたるときは、犯罪は成立しない。
要点3
人々の命を守るために怪獣と戦って街を壊すのは緊急避難にあたる。

結論
デスノートで相手が死んでも、殺人罪にはならない
要点1
科学的に説明できる死因なら、殺人罪になる
要点2
デスノートに名前を書くことは、科学的に説明できる死因にならない
要点3
科学的に説明できる死因とは、毒による中毒死など。

結論
髪の毛を抜いたら、傷害罪になる可能性がある。
要点1
傷害罪は、人にケガをさせたら成立する
要点2
毛を引き抜くと、毛根の近くの血管や頭皮を傷つけたとして、傷害罪になる可能性がある。
要点3
毛を抜くのではなく、ハサミで切った場合は、暴行罪になる可能性がある

最初は借りパクするつもりがなくても、本を返すのが面倒になってそのまま借りパクしてしまったら横領罪。5年以下の懲役になる。

未払いの給料を請求して支払ってもらえるのは、本来の給料日から3年が経過するまで。

結論
転売は、犯罪になるケースとならないケースがある。
要点1
無許可で中古品を仕入れ、自分で使わずに転売するビジネスを繰り返したら古物営業法違反。
要点2
路上で新幹線などのチケットを転売するビジネスをしたら迷惑行為防止条例
違反。
要点3
ライブなどのイベントのチケットを転売するビジネスをしたらチケット不正転売禁止法違反。

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面白い内容は、どうしても刑法絡みになるので、本書でも刑法に関する話が多く取り上げられていますが、ところどころ、建築基準法や労働基準法など、ビジネスに関係する法律も取り上げられています。

裁判所や刑務所の裏話なども掲載されており、面白おかしく法律が学べる、エンターテインメント性あふれる一冊です。

ぜひ読んでみてください。

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『おとな六法』岡野武志、アトム法律事務所・著 クロスメディア・パブリッシング

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◆目次◆

おとな六法の楽しみ方
01 アニゲー
02 学校
03 職場
04 犯罪
05 刑務所
06 事故被害
07 ネット
08 裁判
09 司法試験
10 弁護士
11 アトム
あとがき

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