2023年9月26日

『店は客のためにあり 店員とともに栄え 店主とともに滅びる』笹井清範・著 柳井正・解説 vol.6324

【必読。】
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本日ご紹介する一冊は、ファーストリテイリングの会長兼CEO、柳井正さんも推す、倉本長治の商人学をまとめた一冊。

著者は、惜しまれつつも廃刊となった雑誌「商業界」の最後の編集長で、現・商い未来研究所代表の笹井清範氏です。

柳井正氏は、本書のタイトルになっている「店は客のためにあり 店員とともに栄え 店主とともに滅びる」という言葉を座右の銘とし、執務室に飾っているようで、本書の解説も引き受けています。

この解説部分がなんと16ページもあり、内容がまた「熱い」。

いま時のITビジネスの経営思想をバッサリ切り、真の商売とは何か、経営とは何かを説いた内容で、ここだけでも読み応えがあります。

「はじめに」からは、元「商業界」編集長の笹井氏の執筆部分で、これは、全12巻の『倉本長治著作選集』をベースとした各種資料、倉本氏が評価した商品たちの思想、著者自身の取材体験を元に書き下ろされています。

倉本長治の凜とした思想や日本を代表する商人たちの言葉があまりに美しくパワフルで、腐敗・混迷が続く現在の日本が恥ずかしく思えてきます。

何のために商売をするのか、商いはどうあるべきか、商人はどう生きればいいのか、改めて大事なことを教えていただいた気がします。

なかでも、いま問題となっている値づけの話、仕入れの話は、これからの商売の大きなヒントになると思います。

個人的にはロングセラーのヒントもいただいて、大満足の一冊でした。

さっそく本文のなかから、気になった部分を赤ペンチェックしてみましょう。

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みんな儲かりそうだからとITやインターネットのほうへばかりに目を向けて、上場させるとすぐに経営権をファンドに売ってしまう。私はそういう経営者はダメだと思います。最近の起業家は、在庫をできるだけ持たない商売を探していると聞きますが、そんなの儲かるわけがないでしょう。そもそも、儲けようとしたら絶対に儲かりません。誰も人を儲けさせようと思って、応援してくれる人などいません(柳井正氏)

「古くして古きもの滅び 新しくして新しきものまた滅ぶ 古くして新しきもののみ 永遠にして不滅」(新保民八)

「商売は損得の勘定より 善悪の峻別のほうが大切だ 採算よりも善悪を 第一に考えるのが根本である」

愛をもって商えば、真実をもって売ることができます(著者)

「利益なしでは続かないが 真の目的は儲けではない だからお客様のために 売らないことだってある」

「お客様が一切れの塩鮭を見ているとき、本当は懐の財布の中を見ているんだよ」(ヨークベニマル創業者・大高善雄)

「他人さまには幸せを、そして自らには厳しい鞭を。ここに商人としての真の道がある」とは、江戸時代に材木商から興った近江商人、菓子の「たねや」の経営方針の冒頭の言葉

「常にお客様の利益を守り かつ己の利益も外さない 正しい利益を生み出す 不退転の売価を付けよう」

「無理に売るな、客の好むものも売るな、客の為になるものを売れ」(松下幸之助「商売戦術三十カ条」の一つ)

「仕入れるときに 威張って買うから売るときに 頭を下げなければならない」

「従業員とは 店を裏側まで知っている もっとも大切な お客様のことである」

「本当の店とは 商品が儲けるところではない お客様に 得してもらうところと見極めよう」

「生活者に幸福な お金の使い道を親切に知らせる活動を 広告というのである」

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これの日めくりカレンダーを作って欲しいと思うくらい、良い言葉が並んでいます。

規模の大小を問わず、商売人には刺さる一冊ではないでしょうか。

ぜひ、読んでみてください。

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『店は客のためにあり 店員とともに栄え 店主とともに滅びる』笹井清範・著 柳井正・解説 プレジデント社

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◆目次◆

第一章 損得より先きに善悪を考えよう
第二章 創意を学びつつ良い事は真似ろ
第三章 お客に有利な商いを毎日続けよ
第四章 愛と真実で適正利潤を確保せよ
第五章 欠損は社会の為にも不善と悟れ
第六章 お互いに知恵と力を合せて働け
第七章 店の発展を社会の幸福と信ぜよ
第八章 公正で公平な社会的活動を行え
第九章 文化のために経営を合理化せよ
第十章 正しく生きる商人に誇りを持て

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