2023年6月15日

『図解アパレルゲームチェンジャー』齊藤孝浩・著 vol.6256

【このビジネスモデルを学べ。】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4296116401

今日は手前味噌からスタートさせていただきますが、19年前、エリエスは出版界にかつてなかったビジネスモデルで参入しました。

立ち上げパーティでご挨拶いただいた出版社の社長さんからは、「これで果たして飯が食えるんですかねえ」とコメントいただきましたが、今はその出版社を含め、同業の多くもうちのビジネスモデルを真似ています。

起業の際、考えなければいけないことはたくさんありますが、利益率に決定的な影響を与えるのは、競争状況とビジネスモデルだと思っています。

だから、これから起業する方には、ぜひ競争戦略とビジネスモデルを学んで欲しい。

本日ご紹介する一冊は、アパレル業界のゲームチェンジャーたちのビジネスモデルを取り上げ、解説した画期的一冊。

著者は、ファッション業界で豊富な実務経験を持つファッション流通コンサルタントの齊藤孝浩さんです。

本来の専門分野は店頭在庫の最適化らしく、ちょうど土井が起業したのと同じ2004年に起業し、これまで30以上のブランドの在庫コントロール業務の再構築と人材育成に関与。

うち、6ブランドは年商100億円突破を実現したというから、なかなかのやり手ですね。

本書は、そんな著者が、ZARA(インディテックス)、SHEIN、ZOZO、ワークマン、COSTCO、LVMH、丸井グループ、メルカリ、DoorDashなど、10のビジネスモデルを解説。

それぞれどこで利益を確保しているのか、競争優位性やオペレーションの優位性はどこにあるのか、BS、PLの分析も入れながら解説しています。

さすが業界専門コンサルタントだけあって、話が深くて面白い。

これは、おすすめの一冊です。

さっそく本文のなかから、気になった部分を赤ペンチェックしてみましょう。

—————————-

PLではなく貸借対照表(BS)で考えている点が、勝ち続けている流通業に共通していること

ZARAは業界平均よりも高い仕入れ原価率で商品を調達していますが、値下げ幅を業界平均の3分の1に抑えることで、結果的により高い粗利率(歩留まり)を残している

スピードが求められる部分を内製化することで、製品のアウトプットのスピードと柔軟性を自らコントロールしている(ZARA)

広州という、世界最大級の生地在庫を抱える生地市場と中小縫製工場が数多く存在するアパレル産地に拠点を置くことで、需要をつかんだら生地在庫を必要な分だけ確保し、短期間で製品をつくり出荷ができる環境が整っています(SHEIN)

SHEINのサイトはファッションの人気投票会場

ZOZOの場合、ショップから預かった在庫を販売代行する受託販売が中心のため、それらの売上原価はPL上には表れず、同社が買取販売した商品売上高の売上原価のみが計上されるため、売上原価率がたったの6%と極めて小さい

売上高の内訳は、買取販売による商品売上高が10%程度。それに対して、受託販売やブランドのECフルフィルメント(ECにおける受注、荷造、出荷、代金回収までの一連の業務)代行の受託販売手数料収入が売上高の75%、広告収入が4%、その他売上高(送料や年会費他)が12%と9割を占めます。これらは売上原価のかからない売上総利益100%の売り上げです。そのため、全売上高に対する売上総利益率(粗利率)が90%を超えるビジネス構造(ZOZO)

店舗と消費者のラストワンマイルを即配ギグワーカーでつなぐマッチングプラットフォームDoorDash

DoorDashではユーザーから配達の都度得られる手数料以外に、DashPassというサブスクリプションサービスがあり、月額9.9ドルのサブスク料金を500万人ものユーザーが払っています(2021年12月時点)。単純計算して年換算にすると772億円(一ドル=130円換算)もの収入となります

—————————-

目次にZARA(インディテックス)が2回出てくるのにユニクロが出てこないのは意図的なものかと勘繰ってしまいますが(笑)、確かに画期的でユニークなビジネスモデルが取り上げられています。(ZARAとユニクロの比較は出てきます)

9社のビジネスモデルのすごさとどこにアキレス腱があるのかなど、冷静な分析が光る一冊で、競合企業やこれからファッション業界で起業したい人は、ぜひ読んでおくべきでしょう。

好きなことで起業する人は、業界や商品カテゴリーを気にすると思いますが、同じぐらいビジネスモデルも研究すれば、成功の確率は上がると思います。

ぜひ、本書を読んで自分ならではのビジネスモデルを開発してみてください。

———————————————–

『図解アパレルゲームチェンジャー』齊藤孝浩・著 日本経済新聞出版

<Amazon.co.jpで購入する>
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4296116401

<Kindleで購入する>
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B0C5WYTKD1

———————————————–
◆目次◆

Chapter01 ZARA(インディテックス)
Chapter02 SHEIN(シーイン)
Chapter03 ZOZO
Chapter04 ワークマン
Chapter05 COSTCO(コストコ)
Chapter06 LVMH(モエヘネシー・ルイヴィトン)
Chapter07 丸井グループ
Chapter08 メルカリ
Chapter09 DoorDash(ドアダッシュ)
Chapter10 ZARA(インディテックス)他

この書評に関連度が高い書評

この書籍に関するTwitterでのコメント

同じカテゴリーで売れている書籍(Amazon.co.jp)

NEWS

RSS

お知らせはまだありません。

過去のアーカイブ

カレンダー