2022年5月20日

『英語の新常識』杉田敏・著 vol.6000

【祝・6000号】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4797680938

本日ご紹介する一冊は、元NHKラジオ「実践ビジネス英語(旧「やさしいビジネス英語」)」の講師であり、実業界に多くのファンを持つ英語のカリスマ、杉田敏さんによる一冊。

バーソン・マーステラを経て、日本ゼネラル・エレクトリックの取締役副社長、バーソン・マーステラ(ジャパン)社長、プラップジャパン代表取締役社長を歴任、マイケル・ジャクソン来日の際は、通訳を務めたこともある英語の達人が、この30年間、英語に起こった変化と実践的英語表現を紹介する、知的刺激あふれる一冊です。

emoji(絵文字)やdaikon(大根)、hentai(変態)など英語に浸透した日本語や、post(SNSなどに投稿する)に代表されるテクノロジー関連の単語の変化、差別用語の変遷、挨拶の変化、語尾変化、語法・文法の変化など、変化の背景まで含めて読めるのが面白い。

教養として読んでも面白いですが、主要な英語表現は、すべて意味と使い方が示されているので、実践的な英語学習の教材としても使えると思います。

何より英語学習者にとっては、行間ににじみ出る杉田先生の骨太の英語学習哲学と、励ましが刺さります。

しばらく英文記事を読むのをサボっていましたが、ひさしぶりに本気で勉強しようという気になりました。

ノーベル賞受賞者の山中伸弥先生も影響を受け、学んだという杉田先生の英語。

本書は、その真髄に触れられる、熱のこもった一冊です。

さっそく本文のなかから、気になったところを赤ペンチェックして行きましょう。

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「国会」をDietと呼ぶのは世界でも日本ぐらいです。日本発の外国通信社の記事などではDiet(parliament)とカッコ付きで書くこともあります

アメリカでは、言語に多少なりとも関心のある親は子供に、niceという語を乱用しないように教える

be jaded:「牛馬のようにこき使われる」

AP通信が発行する「APスタイルブック」(The Associated Press Stylebook)は英文報道記事におけるバイブル的存在

WとPは「white powerの秘密のシンボル」(clandestine symbol of white power)の象徴として、人種差別や少数民族に対する「憎悪のシンボル」(symbol of hate)として使う過激主義者が現れてきたのです。OKのジェスチャーは最近は、見方によって意味の異なる危険なものになってしまいました

juneteenthは、Juneとnineteenthを組み合わせた語で、6月19日を意味します

「外国人留学生」はforeign studentではなくinternational student

spick-and-spanは「しみひとつない」「ピカピカの」という意味の形容詞ですが、SpickはHispanicの人たちを侮辱した語でもあるので、タブー視されるようになってきました

「障害のある人」はdisabled personではなく、a person with disabilitiesが丁寧な言い方です。このようにまず「人」を先に出すperson-first ideologyとか、person-first languageなどと呼ばれる用法が、最近では主流になってきました

gender-neutralな敬称としてはMx.(発音は[miks])があり、OEDには2015年に正式に収録されています

vaxの過去形、過去分詞形はvaxxedで、unvaxxedは「まだワクチン接種を受けていない」、double-vaxxedは「2度の接種を受けた」という形容詞

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時代遅れの表現を避けるためにも、ビジネスパーソンすべてが読むべき一冊。

英語学習者にとっては、英語習得の心構えを説いた「はじめに」の5ページを読むだけでも、モチベーションが上がり、一冊分払った価値があると思います。

ぜひ、読んでみてください。

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『英語の新常識』杉田敏・著 集英社インターナショナル

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◆目次◆

第1章 自己責任ではない「働き方」
第2章 デジタル化で効率を上げる
第3章 教育は貧富に関係なく受けられる
第4章 フィンランドでの出産
第5章 男性にも女性にもやさしい子育て
第6章 安心できる医療・介護システム

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