【比較するとわかる意外な戦略&儲けのしくみ】
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ビジネスの数字感覚を磨くには、「比べる」ことが有効だと、さまざまな本に書かれていますが、なかでも決算書の比較は、見えないものが見えてきて、本当に勉強になります。
本日ご紹介する一冊は、決算書の同業他社比較を行うことで、見えざる戦略&儲けのしくみを明らかにしようとする、興味深い決算書の本。
のっけから「Google vs Meta(旧Facebook)」「Apple vs Microsoft」「Amazon vs Netflix」など、魅力的な企業比較が紹介されていますが、監修を務めるのが、ビッグテックの動向に詳しい立教大学ビジネススクール教授の田中道昭氏ということで、さらに読み応えがあります。
なぜ、一時期苦しかったマイクロソフトの営業利益率がアップルを超えたのか、なぜMetaとGoogleは同じ広告モデルなのに原価率が違うのか、サブスクリプションで互角の戦いを続けるアマゾンとネットフリックスは、どちらに軍配が上がるのか…。各社の持ち味、思想、戦略がよく見える内容です。
「GAFAM+N」以外でも、「ウォルマート vs コストコ」「Twitter vs Weibo」「P&G vs ユニリーバ」「テスラ vs トヨタ自動車」「IKEA vs ニトリ」、「ファーストリテイリング vs ワークマン」「サイゼリア vs コメダ」などが登場し、好奇心をくすぐります。
本業では競合していなくても、一部門が競合だったり、将来競合しそうな2社を比較している点が、ひねりが効いていて憎らしい。
ところどころにビジネス・経営のノウハウが散りばめられており、経営者や戦略部署の方は、興味深く読める内容だと思います。
さっそく本文のなかから、気になったところを赤ペンチェックして行きましょう。
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分析する企業の構造、つまり「投資構造」「収益構造」「事業構造」の3つを見ることだ。そして、それぞれの構造を知るための情報源が「財務三表」である
「財務三表を“三位一体”で見る」こと
“企業価値を決める3大要因”である「成長性」「収益性」「安定性」を三位一体で見る
企業分析をするうえで、“両利き”思考も重要なポイント
「利益率」「ROA」「ROE」を見れば稼ぎ上手かどうかがわかる
固定比率 固定資産/自己資本×100
固定資産をどれくらい自己資本(純資産)で賄っているかを示す指標。本社の建物や工場といった固定資産はすぐに現金化できないため、返済義務のない自分のお金で買えるとより安心だ
本業と非本業を比較する
Metaは、Facebook以外にもInstagramなど、複数のSNSを所有しており、プライベートなユーザーデータを取得している。性別、年齢だけでなく、趣味や嗜好性まで把握でき、ターゲティング精度が極めて高い。広告収益の最大化を自社単独で可能にした点が大きな強みといえる
潮目が変わったのは2014年。ナデラCEOの就任により、大きくクラウド化が加速したのだ。特筆すべきは「Office」のクラウド版だ。OS&ソフト販売への執着から脱却することで活路を見いだしたのだ。現在では、クラウドが主力となり、営業利益率はAppleを超えた
テスラの収益化のカギは「部品の内製化」
サイゼリヤは国内店舗すべてが直営店だが、コメダは90%以上がFC(フランチャイズチェーン)店だ。外食産業にとって重荷となる販管費の負担は、FC店よりも直営店の方が大きくなる。そのことは両社の販管費率を比べれば一目瞭然だ。サイゼリヤの販管費率が60%台であるのに対してコメダのそれは10%台である。これがコロナ禍のまっただ中でも、コメダが営業黒字を確保できた理由だ
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個人的な経験として、20代の頃、財務諸表分析をやったのは、その後のビジネスマインドを養うのに効果があったと思っています。
20代、30代の若いうちに本書を読んでおけば、きっとビジネスマインドが高まること、間違いなしです。
ぜひ、読んでみてください。
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『くらべる!決算書図鑑』田中道昭・監修 宝島社
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◆目次◆
Prologue 分析の本質は「比較」にある
chapter01 くらべる!GAFAM+N
chapter02 くらべる!世界の企業
chapter03 くらべる!世界と日本の企業
chapter04 くらべる!日本の企業
chapter05 くらべる!日本の主要業界
chapter06 決算書で企業を読み解くポイント
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