【佐藤優氏の特別講義】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/429540604X
本日ご紹介する一冊は、作家・元外務省主任分析官の佐藤優氏が、中学3年生に向けて行った講義録を、書籍化したもの。
青山学院横浜英和中学高等学校の3年生に、「読解力」というテーマで全3回の集中講義を行ったもので、三浦綾子さんの『塩狩峠』を題材に、人生や勉強で大切なことを説いています。
※参考:『塩狩峠』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4101162018
「演繹法」「帰納法」といった論理の基本に始まり、小説を読むことの大切さ、行間を読む技術、読解力を高めるための「要約」「敷衍」の技術を解説しており、読解力を高めるための技術から心構えまで、バッチリカバーできます。
相手の内在的論理を知ることや、自分の当たり前を壊すこと、他人に感化されることの大切さなど、人生を豊かにする秘訣についても言及しており、若い方にはぜひ読んで欲しい内容だと思いました。
個人的に感動したのは、「受けるよりは、与える方が幸いである」と言ったイエスの言葉の解説。
これが見事に、『塩狩峠』と人生を豊かにする秘訣に結びついており、この講義を受けた学生さんは本当に幸せだと思いました。
学生が読めば、人生の指南書。社会人が読めば、読解力を高めるための実践書。
著者おすすめの読書リストも登場し、じつにバリューの高い一冊だと思いました。
さっそく本文のなかから、気になったところを赤ペンチェックして行きましょう。
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「読解力」とは、できる限り偏見なく情報を受け入れ、対象を認識し理解することです。対象がテキストであれば文意を理解し、行間を読むということですし、人間であれば相手の主張や立場を理解し、相手の論理で考えるという、「思考の幅」を持つことです
さまざまなつながりや紐帯から解き放たれ、一見自由になった人々は、不安と孤独に向き合うことになります。その不安と孤独を解消し、もう一度つながりと連帯感を取り戻すために、人々は文化的同質性を再び求めるようになる。マスメディアの発達がそれを加速させていきます
相手の立場に立ち、相手の考え方や受け止め方、思考や行動のパターンを読み解く。そうすることで相手の反応や行動を理解することができ、うまく対応することが可能になります。これこそが「読解力」の本質なのです。これはインテリジェンスにおける相手の「内在的論理」を知るということと同じです
メタな視点で対象と少し距離を置き、立体的、複合的に物事を捉える。すなわちクリティカルな態度を貫くことで、より深い理解や把握、洞察が可能になります。「読解力」をつけるためには、まず自分自身の固定観念を取り払い、さまざまなものから自由になることが大事なのです
「要約」とは言葉通り、文章を重要な部分を抽出して短くまとめ、文意を簡潔に示すことです。「敷衍」とはその逆に、文章はそのままで、それをより詳しく、かつ理解しやすいように言葉や表現を変えながら話を広げていくことです
一粒の麦は、地に落ちて自らの存在を捨てることで、新たな芽が出てたくさんの実をつけることができる。しかし、地に落ちず一粒のままではそのまま増えることはない。「自分の命を憎む」とは、「自分の命に執着しない」という意味でしょう
「受けるよりは、与える方が幸いである」。この言葉をぜひ皆さん心にとどめておいてください。人に与えることができるということが、本当の幸せなんだね
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『塩狩峠』から『ビリギャル』まで、硬軟織り交ぜつつ、読解力と人生について語った、著者しか書けないであろう傑作。
読書本、スキル本を超えた、人生の指南書です。
中学生、高校生、大学生の子どもを持つ親は、黙って子どもに買い与えることをおすすめします。
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『未来を生きるための読解力の強化書』
佐藤優・著 クロスメディア・パブリッシング
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◆目次◆
第1章 人生は読解力で決まる
第2章 読解力とは行間を読む力
第3章 特別講義 小説を通して読解力を身につける
第4章 違和感を大事にする
第5章 未来を読み解く力
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