【DXの実践が学べるビジネス小説】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4532324327
本日ご紹介する一冊は、DX(デジタルトランスフォーメーション)の実践が学べる、異色のビジネス小説。
著者は、株式会社Kaizen Platform代表取締役の須藤憲司さんです。
日米2拠点で事業を展開し、2020年にマザーズ上場。日々、企業のDX支援、コンサルティングに奔走する著者が、その経験を踏まえて書いた、興味深い内容です。
「おわりに」で著者が述べているように、<すべてのDXのプロジェクトは、デジタルから始まるのではなく、足を使って現場を知り、問題の解像度を高めながら、泥臭い取り組みで信頼を勝ち得て変革していくというプロセスで進んでいきます>。
本書のストーリーも、決して無機質なテクノロジーの抽象論に終止するのではなく、架空の老舗洋菓子店チェーンの話を土台に、実際によく起こる問題を取り上げ、解決策を示したものです。
舞台は、関東圏に30店舗展開する、老舗洋菓子店チェーンの「パティスリーUSHIO」。
その総務部に異動したばかりの主人公、岬ましろがひょんなことからDX担当に任命されたところから、ストーリーが展開します。
ましろは、百戦錬磨のDXアドバイザー、黒崎拓海(くろさき・たくみ)の指導を受け、社内のDX化に挑戦。時に社内の反対にあいながらも、成果を上げてきます。
読者は、このプロセスを追体験することで、DXで本当に大切なことは何か、どう自分たちのビジネスプロセスを改善していけばいいか、示唆を得ることができます。
DXを考えることは、自分たちのビジネスが正しい道に進んでいるか、顧客のためになっているかどうかを見直すこと。
その意味で、本書では「ドラッカーの5つの問い」をベースに話が進められています。
◆ドラッカーの5つの問い
1.我々の使命は何か
2.我々の顧客は誰か
3.顧客の価値は何か
4.我々の成果は何か
5.我々の計画は何か
本書を読めば、これまでDXにアレルギーがあった人も、その大切さに目覚めること、間違いなしです。
さっそく本文のなかから、気になったところを赤ペンチェックして行きましょう。
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DXに限らず、何か新しいことをしようというときは、必ずビジョンから逆算して、今何をすべきかを考える必要がある。ゴールがわからないまま闇雲にスタートしても、迷子になるだけだから
結局、1週間かけて全店舗を回った。店舗によって使用している書類フォーマットが異なることに驚く拓海さんを見て、私はそのことに対して特に疑問を持っていなかった自分に驚いた
コミュニケーションとは、単に会話だけを指すのではない。受発注や在庫管理、勤怠管理など、情報の発信者と受信者が存在するものには全てコミュニケーションが発生する。そのコミュニケーションを円滑にするためのツールが必要なのだ
DXを推進するためには、90日以内に成果を出さないと失敗する
人はね、きれいな完成品よりもプロセスが見たい生き物なんだよ。だからケーキをつくる工程の動画もどんどん投稿していこう。それが商品のカタログにもなるからさ
DXとはデジタルトランスフォーメーション、つまり「デジタルによる顧客体験の変革によって儲ける」という提供価値のDXであり、顧客体験がデジタルで変わらないといけません
顧客視点のポイントは、2つの質問に明確に答えること。もし自分が顧客なら、何に困っているか? もし自分が顧客なら、なぜ買うのか?
誰の、どんなペインポイントを、どうやって解決するのか? それは他のこれまでの解決策よりなぜ優れているのか?この2つをまとめてみよう
交換価値
モノ「素材」「加工」
コト「配送」「体験」
体験価値
「ライブ」「コンテンツ」
「コミュニケーション」「コミュニティ」
顧客体験向上について話すときは、時間をキーワードにするのがポイント
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書かれていることは基本的なことが中心で、当該テーマに関して目新しさを期待する人には向いていませんが、DXが何だかよくわからないという方、わかっているけどいまだ取り組めていない、という方には勉強になる内容です。
自社のビジネスプロセスをどう見直せばいいか、その上でどうデジタルとアナログのバランスを取って行けばいいか、プロセスのどこに新しいビジネスチャンスがあるのか…。
経営者が自社のビジネスを再構築するために必要な視点がいくつも入っており、とても勉強になりました。
ぜひ、読んでみてください。
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『総務部DX課岬ましろ』須藤憲司・著 日本経済新聞出版
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◆目次◆
Chapter0 DX担当任命は突然に
Chapter1 ミッションを知る
Chapter2 デジタル化をする「本当の」意味
Chapter3 顧客目線で考えよう
Chapter4 社外のスペシャリストを巻き込む
Chapter5 創業者の想いを知る
Chapter6 DX推進に必要なこと
Chapter7 幸せの届け先
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