2019年8月6日

『サウンドパワー』ミテイラー千穂 Vol.5330

【サウンドを戦略的に活用する】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4799324756

本日ご紹介する一冊は、ジュリアード音楽院で学び、その後大手企業の音(サウンド)を使ったマーケティング、ブランドに従事しているという、個性的なキャリアの持ち主が、サウンドマーケティングの秘密を語った一冊。

日本企業では、まだまだ戦略的に活用しているところが少ない「サウンド」ですが、じつはかなり研究が進んでおり、小売店やホテル、職場などでポジティブな実験結果がたくさん発表されています。(もちろんネガティブなものも)

たとえば、みなさんはスーパーマーケットで流すBGM、アップテンポのものとスローテンポのもの、どちらが売り上げに貢献すると思いますか?

アップデンポの方が気分が高揚して購買が促されそうな気がしますが、じつはアップテンポにすると目的買いが増え、かえって売り上げが落ちます。一方、スローテンポの音楽にすると買い物客はゆっくり回遊することになり、逆に売り上げが上がったのです。

近年のサウンドの研究には、このように商売に直結する実験結果がたくさん発表されており、本書ではそれらを紹介しつつ、企業がどうサウンドを活用すればよいか、専門家がヒントを示しています。

「成功するソニック・ブランディング6つの特徴」
「サウンドオーラルストラテジー6つのポイント」

あたりは、ぜひ本書を読んでチェックしてください。

ここでは、サウンドに関して知っておくと便利な知識をいくつかチェックしてみましょう。

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自分自身の動きから発生するサウンドは、その空間における自分の位置や他の物質との距離などの情報を与え、意識しているかどうかにかかわらず、自分がその空間に存在していることを認識させてくれます

砂利のクランチサウンドが発生すると、そのスペースのサウンドスケープ全体の音量レベルが上がります。そのため、このスペースを通過した後、急な静けさを感じることになり、別の世界への移動を演出することができます

ウォーターサウンドの影響力は非常に強く、交通騒音や他の望ましくないサウンドをかき消す(マスクする)のに最適

ショッピングモールにふさわしいのは、買い物や食事を盛り上げてくれるサウンド。そうであるなら、高いピッチ(高音)のメジャー・サウンド(長調:明るいイメージを感じるサウンド)がぴったりです。これらは、幸福やユーモアを引き出すことが知られています

お酒を勧めるならアップテンポ

あまりなじみのないサウンドが流された場合のほうが、ヒットチャート・サウンドより、人々が店内に滞在する時間は長くなった

フランス風のサウンドが再生された日はフランスワインが購入される確率が高くなり、ドイツ風のサウンドが再生された日はドイツワインが購入される確率が高くなった

ロマンティック・サウンドを再生した場合に、購入する花の種類や
本数が増加する

カントリーミュージックは、歯ブラシなどの実用的な商品の購入増加につながる

わたしたち日本人は、飲食店のBGNレベルにそこまで敏感ではありません。その証拠に、飲食店の情報が掲載されたサイトに、「音」の情報が含まれていることは稀です。しかし、ニューヨークやロサンゼルス、ロンドンなどでは、評論家たちが、食品の品質のみならず、BGNレベルについても定期的にリポートしています

騒音は料理の味を損ね、早食いを促す

BGNレベルが高い場合、「うま味」により敏感に反応するようになりますが、トマトジュースにはまさにこのうま味成分がたくさん含まれています。航空機内でトマトジュースやブラッディマリーのオーダーが増えることは、偶然ではなく必然なのかもしれません

音と料理を同時に楽しむサウンドペアリング・メニュー

ダークチョコを口に頬張り、(1)低音(F1:43.7hzとC2:54.4hzを同時に発音)あるいは、(2)高音(A5:880hzとC6:1046.5hzを同時に発音)を聞きながら食べてみます。(1)低音ではより苦い、(2)高音ではより甘いフレーバーに感じられるはずです

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この本が売れたら、飛行機でトマトジュースをオーダーする人が増えそうですね(笑)。

アテンション・プリーズ。航空機会社のみなさん、在庫レベルにご注意ください。

消費者行動とマーケティング、企業ブランディングを「音」の側面から語った、じつにユニークな一冊です。

新たな時代のマーケティング手法として、また来たるべき動画時代、VR時代のビジネスのヒントとして、ぜひ読んでおきたい一冊です。

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『サウンドパワー』ミテイラー千穂・著 ディスカヴァー・トゥエンティワン

<Amazon.co.jpで購入する>
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4799324756/

<Kindleで購入する>
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◆目次◆

第1章 なぜ、音には力があるのか?
第2章 サウンドパワー活用の最前線
第3章 わたしたちをとり囲む音の空間「サウンドスケープ」
第4章 誘導のサウンドパワー
第5章 ブランディングのサウンドパワー
第6章 声のサウンドパワー
第7章 健康と生産性のサウンドパワー
第8章 味覚と食感のサウンドパワー
第9章 子育てと教育のサウンドパワー

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