【社長必読!】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4822264238
みなさんは、埼玉県川口市にある、コミーという鏡メーカーをご存知でしょうか?
土井も最近まで知らなかったのですが、じつはこのコミー、みなさんご存知の、銀行のATM機についている「後方確認ミラー」や、飛行機の「手荷物入れミラー」、エレベーターの安全確認ミラーなどを手掛ける企業。
2011年の調査で「4つ星」評価を受けている航空会社のうち、半数以上、最高ランクの「5つ星」評価に至っては、なんと7社中6社が採用しているという、まさに世界的鏡メーカーなのです。
本日ご紹介する一冊は、このコミーの驚異の経営を、日経トップリーダー(旧・日経ベンチャー)編集部がまとめた一冊。
先日、ご紹介した『ホワイトスペース戦略』に、「顧客のジョブを発見する」ことの重要性が書かれていましたが、このコミーの経営は、そこからさらに一歩進めて、顧客の動作まで確認し、ユーザー・サティスファクションを高めることに特徴があります。
※参考:『ホワイトスペース戦略』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4484111047
実際に使用現場に赴き、商品はユーザーのミスで壊れても無期限で交換する。商品開発のヒントも現場から。
こんな姿勢で、数多くのロングセラー商品を生み出しているのです。
また、活動時間の多くを考えることに集中させるべく、余計な悩みや手間を生み出す手形は一切切らない。
さらに、マネジメントにおいても、古参社員の「ヌシ化」を防ぎ、疑問を投げかけ、業務改善のために言葉の定義にこだわるなど、さまざまな工夫がなされています。
これぞ、中小企業の「生きた教科書」。
経営者、起業家、そして業務改善に取り組む熱心なビジネスパーソンには、ぜひ読んでいただきたい一冊です。
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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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「役に立つ商品を出し続けるためには、商品を買ってくれる顧客よりも、商品を実際に使う本当のユーザーの声に耳を澄ませることが大切。だからコミーでは、CSではなくUS(ユーザー満足、ユーザー・サティスファクション)を追求してきました」(小宮山社長)
ユーザーは作り手が思いもしないことを考えているもの。だからコミーは商品納入後も、作り手と使い手の間に誤解はないかと目を凝らし、たとえ1人でも誤解しているユーザーがいたら、その解決に全力を注いできた。コミーには10年を超えるロングセラー商品が多いが、それは使用現場に出向き、ユーザーの役に立つように商品の改善を積み重ねた「US」の結晶に他ならない
家電やパソコンのように保証期間内に限って無料修理に応じる企業はあるが、コミーの場合は無制限。しかも商品に欠陥がなく、ユーザーのミスで壊しても交換するというのだから異例だ。「割れた商品が使われていたらその店はもちろん、コミーにとってもイメージダウンになりますから」
会社でも個人でも、社会に役立っていれば、社会は見捨てないはずです
業務用ミラーの中でも「気くばりミラー」というさらに小さな市場で生きている限り、誰の仕事を横取りするわけでもないし、競争に巻き込まれる心配もない。それは、不器用な小宮山社長の生き方そのものである
「売り上げの拡大よりもユーザーの役に立つものは何かと考え、新規ユーザーの開拓よりも既存ユーザーのフォローに時間を費やす。これがコミーの経営です。それ以外の仕事にパワーをできるだけ割きたくない。だから、手形は切らないし、受け取りません。手形には落ちるか落ちないかという心配事が付き物ですし、手形を管理する社員も必要です。そんなことに時間を費やして、考える時間を取られるのがもったいないのです。大企業のお客様からの手形も断ってきました」(小宮山社長)
ヌシが発生すると、他の人はそのヌシに頼るようになり、ヌシにしかできないこと、ヌシにしかわからないことが増えていく。また、ヌシを異動させると会社全体の業務が滞りかねないので、人事異動が制約されて他の人もヌシ化しやすい
より機動的な組織をつくるためには、慣れでどうにかしているベテランの意見より、不慣れな新人が「やりにくい」と感じた違和感のほうを重く受け止めるべきだ
◆コミーがこだわる言葉の定義 ※一部紹介
やりとり:「約束のプロセス」
クレーム:「お客様に言われて気付いた問題」
気くばり:「周りに問題が発生しないように配慮や確認をすること」
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『なぜ、社員10人でもわかり合えないのか』日経トップリーダー・編 日経BP社
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◆目次◆
第1章 街中にあふれる「あの鏡」を作るのは、社員16人の世界企業
第2章 無料で貸し出し、無料で交換も 思い込みを徹底的に取り除く
第3章 コミーの歴史は「誤解」から始まった
本当の「売れた理由」を突き止める
第4章 中小企業ほど、実はわかり合えない
小さな組織をむしばむ「ヌシ化」
第5章 「社内用語集」を日々更新 言葉の定義を厳密に決める
第6章 時間がたってもわかり合える 「物語化」し、何度も追体験
第7章 「なぜ?」と問うと 人はなぜ成長するのか?
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