【ビジネスモデルの空白を狙い撃ちする方法】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4484111047
エリエスを起業してもうすぐ7年。業界で新しいビジネスモデルを立ち上げ、ここまでやってきましたが、そろそろ従来のビジネスモデルにメスを入れたいと思っています。
黙っていてもそれなりに会社はまわりますが、守っているだけだと、どうしても起業家精神が萎えてしまう。
そこで、何か良いヒントがないかと思い、手に取ったのが本日ご紹介する『ホワイトスペース戦略』です。
著者のマーク・ジョンソンは、名著『イノベーションのジレンマ』の著者、クレイトン・クリステンセンとともに、イノベーション専門の戦略コンサルティング会社を立ち上げた人物。
※参考:『イノベーションのジレンマ』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4798100234
本書は、著者が2008年に「ハーバード・ビジネス・レビュー」誌で発表し、マッキンゼー賞を受賞した論文「Reinventing Your Business Model」を発展させたものです。
現在、ベストセラーとなっている『ストーリーとしての競争戦略』により、多くのビジネスマンは単発の打ち手・ビジネスモデルに頼った戦略がいかに持続性を欠くものか、実感したはずですが、本書もまた、実行と継続に重きを置いた戦略論。
※参考:『ストーリーとしての競争戦略』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4492532706
<ビジネスモデルの「四つの箱」>と称して、顧客価値提案、利益方程式、主要経営資源と主要業務プロセス、すべてを統合する考え方を説き、ビジネスモデルに空白ができる瞬間とはいつか、既存のビジネスモデルをいつ、どうやって転換すればいいのか、アドバイスをしています。
電動工具のリースで成功を収めたヒルティ社や、タタ自動車の超低価格自動車「ナノ」、自然食品スーパーマーケットチェーンのホールフーズなど、事例も豊富で、じつに読み応えがあります。
もとが論文だけあって、表現の抽象度が高く、読むにはある程度の実務経験を要しますが、個人的には、ビジネスモデル転換のヒントを読んだだけで、もとが取れました。
社内ベンチャー、起業の教科書としても、参考になる一冊だと思います。
ぜひ読んでみてください。
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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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◆ビジネスモデルの「四つの箱」
・顧客価値提案
・利益方程式
・主要経営資源
・主要業務プロセス
やがて会社が成熟段階に入ると、事業の内容が明確に定義されるようになり、境界線が明確になってくる。企業は自社の中核となる事業領域「コアスペース」に労力と能力を集中的につぎ込むようになる
アップルが独創的だったのは、音楽を手軽にダウンロードできる仕組みをつくれば高価な音楽プレーヤーの需要を喚起できると気づいたことだった
◆顧客価値提案の質は、次の三つの点に左右される
1.その顧客価値提案で解決されるジョブが顧客にとってどの程度重要か
2.顧客が既存の選択肢にどの程度満足しているか
3.ほかの選択肢と比べて、その提案がどの程度、ジョブを有効に
解決できるか
業界に革命を起こすのは、利益をあげるための強力な方法ではなく、従来とはまるで異なる方法で利益をあげることを求める新しい強力な顧客価値提案だ
ときには、低価格帯の市場に突き進むのではなく、競争の基準を利便性とカスタマイズに移せる場合もある
◆ヒルティ社の事例
メラ率いるチームが考案したのは、建設現場で必要な工具一式をリースするというビジネスモデルだった。顧客が一つひとつの工具をばらばらに購入して自力でメンテナンスと管理をおこなうのではなく、月々のリース料金を支払えば、いつでも手軽に、あらゆる必要な工具を利用できるようにしようと考えた
問題に関する知識が増えて、パターンに当てはめて明確な判断をくだせる段階になり、さらには法則に基づく判定をおこなえる段階に達すると、「バリュー付加プロセス型」のビジネスモデルが適するようになる
顧客のジョブを発見する
◆利益方程式で明らかにすべき4つの要素
・収益モデル(商品やサービスの価格×販売数量)
・コスト構造(直接費と間接費)
・商品やサービス一単位あたりの目標利益率
・経営資源の回転率(在庫回転率、専門サービスを提供する企業で
あればスタッフの稼働率など)
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『ホワイトスペース戦略』マーク・ジョンソン・著 阪急コミュニケーションズ
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4484111047
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◆目次◆
第1部 成長と企業変革を実現する新しいモデル
第2部 新しいビジネスモデルが必要なとき
第3部 再現性のあるビジネスモデル・イノベーション
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