【絵本作家の思考法】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4103524510
本日ご紹介する一冊は、丸善丸の内本店で、たまたま目にして、どうも気になって購入してしまった一冊。
絵本作家のヨシタケシンスケさんが、これまでにしたためたスケッチを解説するエッセイなのですが、これが面白い。
「あわよくば、生きるヒントに。」というゆるいコピーに惹かれて買いましたが、これはなかなか「当たり」でした。
味のあるイラストに、含蓄に富んだ言葉。
創作する人だけあって、それが創作のヒントだったりするのです。
よく、著者と打ち合わせをしていると、「あ、それ私も思っていました」って言う人がいるのですが、「春はあけぼの」と一緒で、思うだけには意味がない。それを言葉に表現できてはじめて評価されるのです。
そういう意味で本書は、「うまいこと言われちゃったな」とちょっぴり悔しくなる一冊。
作り手は、こういう瑞々しい感性を持っていなければなりませんよね。
豊かな人生を考えるのにも、本書は役に立ちます。
さっそく、ポイントをピックアップしてみましょう。
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ききうでのツメは切りにくい(中略)
近すぎるから、出来ないことってのがたくさんあります
とても気に入って、大好きになっちゃって、よごれるのがイヤで、一度も使えなかった、そんなものたち。大事すぎると身近にいられないというか、一緒にいられないみたいなところがありませんか
謙虚さを保つクリームっていうのがあれば、欲しいですよね。たっぷりぬりたいなあ、って思います
普段消費されていく、やり取りされてる言葉のほかに、言葉にされていないものがある。言葉にする価値がないって思われてることと、怖くて言葉にできないこと、その両側に、言葉にされてない未開拓の部分もたくさんあるはず
作家の人なんかは、要は自分ができないことっていうのを、一つ強みにしてる部分も多分あるはずで。つまり、自分のできないことをできないままにしておくっていうのが一つ、その人の作家性みたいなものを保つことになるんじゃないのかなと
「あなたのおかげで私はとうとうあなたが必要なくなりました。今まで本当にありがとうございました」「これは、親の話ですか?」って、聞かれました。なるほどとも思ったんですが、違うんです。影響を受けた作品なんです。中学校ぐらいの頃にすごい影響を受けた作品っていうのを、久しぶりに見て、あ、もう要らないなって感じたときに、こう思いました。その作品のおかげで、自分はすごく影響を受けて、今の自分があるんだけれども、やっぱり自分の中でその後いろいろと発酵して、自分なりの好みがまたいろいろ変わっていって
何か幸せじゃないなって思ったときは、とにかく何か決めればいいのかもしれません
ま、やっちゃったからね。で、やったものの中から自分はできている。で、人間って、それは自分にとってプラスだったんだって思い込もうとするわけです
一番大事なものを先に捨ててしまえば、もう残ってるものは、あれ捨てちゃったんだからこれ置いとく意味なくない?ってなるから、もうごっそり捨てられるはず
何か自分がやりたいことがあって、それができないっていうのは、大した悩みじゃないんですよ、多分。自分は自分でどうにかできるし、自分で目標は設定し直せる。そうではなくて、自分のそばにいる人に、できてほしいことができないってときに、どう一緒にやっていくかっていうのが、実は一番難しい。相手の「できないこと」によりそうことのむずかしさ。人の悩みとはつまりそういうことなのではなかろうか
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書き手、話し手としては、以下の部分が刺さりました。
<普段消費されていく、やり取りされてる言葉のほかに、言葉にされていないものがある。言葉にする価値がないって思われてることと、怖くて言葉にできないこと、その両側に、言葉にされてない未開拓の部分もたくさんあるはず>
先日ご紹介した、『新しい一歩を踏み出そう!』のなかにも、<ゼロイチの間にあるグラデーションを見逃すな>という言葉がありましたが、デジタル時代だからこそ、こういう感性は重要です。
※参考:『新しい一歩を踏み出そう!』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4478107610/
アートを学ぶことで、「無用の用」という言葉を知りましたが、まさに本書はそんな一冊に当たると思います。
ぜひ読んでみてください。
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『思わず考えちゃう』ヨシタケシンスケ・著 新潮社
<Amazon.co.jpで購入する>
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4103524510/
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◆目次◆
はじめに
第1章 ついつい考えちゃう
第2章 父だから考えちゃう
第3章 ねむくなるまで考えちゃう
おわりに
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